愛のカタチ/1.5
O
楽しい昼休みの後は時間が経つのが本当に早い。
アッと言う間に帰る時間になり可愛い恋人と手の焼けるヤローを連れて購買部に寄り、振る舞われた飲み物を飲み干してから…寮に帰るべくその場を後にした。
「ねぇ…佐古?」
丁度公園に差し掛かった辺りで隣りを歩く楓が俺のコートの袖を引っ張った。
「…ん?」
「柊…置いてきちゃって良かったの?」
…なんて。
さっきまでとはうって変わって柊の心配をする可愛い楓チャンをジッと見る。
「柊…なんか身体キツそうだったしさ?」
ククッ…とノドの奥で笑いそんな可愛い恋人の髪をそっと撫でて。
「大丈夫だよ。むしろそんくらい弱ってる方が春日部に大事にしてもらえるだろ?」
不謹慎だが…そうでも言わないと楓の『変な気遣い』がまた暴走するのでそう言ってやった。
「あ、そっか!…そうだよね?」
クスクス…と笑う恋人を見ているだけでほんわかとした温かな気持ちになる。
楓といると…こんな小さな事にさえ幸せを感じるんだ。
ホントに、不思議だ。
「ねぇ、佐古?」
ニコニコ顔のまま楓が俺を見上げる。
「なんだ?」
「寮に帰ったら何する?やっぱり…勉強?」
上目遣いの楓を見下ろしその可愛らしい唇を親指のハラで撫でて。
「楓は…?」
「え…?」
「お前はどうしたい?」
キョトンとした可愛らしい顔が一瞬にして真っ赤に染まる。
その素直さが…楓の良い所で俺が一番好きな所。
「部屋に着いたら教えてくれよ。」
そう耳元で囁くと…俺の愛しい恋人はなにも言わずにただ黙って頷いた。
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