愛のカタチ/1.5
L
廊下での一悶着?を終え購買の奥部屋のドアを開けると。
「柊!大丈夫…」
「おぉばーっ!」
柊の姿を見て立ち上がりかけた弟に…芹沢が飛び着いていった。
「ワリィな…迷惑かけたか?」
へばり付いた芹ごと立ち上がった弟が苦笑いをする柊を見上げて。
「いや…迷惑はかかっていないが心配はした。だけど俺より佐古の方がお前を心配していたぞ?」
…なんてコイツめ。
余計な事言いやがって。
チラと横を向けば…ニヤニヤした柊のヤローが俺を見ながら。
「へぇ…佐古くん、そんなに俺を心配してくれてたの?」
…くそ。
なんかムカツク。
「テメェみてぇな筋肉バカを野放しにしてたら世間様に多大なご迷惑をおかけしちまうからな。」
フンッ。
…と言い捨てて俺の定位置の窓際に座った。
「まーたまた…照れちゃって…」
「ハイハイ。ほどほどにね?」
…と。
珍しく俺達の間に久遠が割って入ってきた。
そんなヤツの手には真新しいタオルが握られていて。
「はい。これで柊の頬を冷やしてやって?」
そう言って、俺の隣りに座っている春日部に手渡した。
手の中の濡れタオルをジッと見ていた春日部は…座ったまま柊のネクタイを掴みその場に座らせて、ヤツの赤く腫れた頬にそっと添えてやった。
「あ…ありがと。」
「…ん。」
なんだ…このまったりとしたラヴラヴな空気は?
いつもの春日部なら…この場合。
『はあ?なんで僕がっ!そんな甘やかす必要なんてないよっ!』
…くらいな事を言ってのけるのに。
目の前の二人を見ながらホンの少し頬が緩む。
今のこれが…柊がボロボロになってまで手に入れた『結果』だとしたら、俺はもっとキチンとヤツを褒めてやりたい。
そんな風に思った。
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