愛のカタチ/1.5
G
…ったく。
いつまでキャンキャン吠えてるんだ。
ナンダカンダで授業の後俺と柊は、天敵の太田に職員室に呼び出された。
入るなり…奴が座る椅子の前に立たされ、ムカつく言い回しでネチネチとゴタクを並べる奴に付き合うハメに。
「なんでお前らは俺の授業を妨害するんだ!!」
まるで俺達が悪いみたいな言い方をする奴をギッと睨み付けて。
「シテマセン。」
「分からないと言ってるヤツ相手に問題攻めする行為は、授業を進めるうえで大事な事なのでしょうか。」
俺の低い声に軽く怯んだ奴がその矛先を柊に向けた。
「…だいたい何だ柊その顔は!ケンカをしたら停学だと言われているはずだぞ!」
勝手な決め付けにイラっときた俺は一層強く睨み更に声を低くして。
「授業となんの関係もないでしょうが。」
「この傷はケンカじゃねーよ。今俺、柔道習ってるからその稽古の傷だ。疑うんなら電話してもいいぜ?」
そう言って柊がズボンのケツポケットから携帯を取り出し…
パシッ!
乾いた音と共に柊の手の上の携帯が…太田にはたき落とされた。
…と同時にどこかで何かのキレる音がして、俺と柊がほぼ同時に太田に掴みかかった。
「うわあぁっ!?」
ガシッ。
後少しで手が届く…という所で後ろ襟を掴まれ俺達の動きが止まる。
「た…助かりました三越先生。」
ホッとした顔してるくせに余裕ぶってる太田を睨み付け、すぐ後ろの三越をも睨み付けた。
「太田先生。俺は別にアナタを助けた訳じゃない。コイツらがこんなつまんねぇ事で手を汚すのが嫌だっただけです。」
「な…っ!」
理数系のヤサ男・太田が体育会系のちょいマッチョ・三越になんぞ勝てる訳ねぇだろうが。
勝者、三越は俺達を解放すると…叩き落とされた柊の携帯を拾い本人に渡した。
「…あざっす。」
ポン、ポン。
…と俺と柊の頭を軽く叩いて口の端を上げた三越が、静かになった太田に向かって。
「俺、一部始終見てましたんで。…と、後コイツ等は購買部の大葉くんの仲間なんで気を付けた方がいいですよ?」
…何故にここで俺サマの名前が?
なんて思っていると…目の前の太田が顔を青くして黙り、俯いて席を立つとそのまま職員室を出て行ってしまった。
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