愛のカタチ/1.5
F‐楓SIDE

上げてしまった僕の声に反応を示した佐古が…太田先生を睨んだままの顔でゆっくりと振り向く。

「テメェ…。」

なかなか聞く事が出来ないような佐古の低い低い声に、すぐ隣りにいる僕の方がおびえてしまう。

未だ後ろのドア付近で立ち止まっている柊を良く見れば…顔中に擦り傷があり口元とアゴに絆創膏が。
それに頬骨の辺りがほんのりと赤く腫れ上がっていて…もしかして…ケンカとかしたのか??
…なんて思ってたら。

「テメェ!なんだそのツラは!」

声を上げた佐古がズンズンと大股で歩いていき柊の胸倉を掴みグッと引き上げた。

「な…なんだよ!イキナリ…」

「ケンカしに行くなら俺か弟に言って行け!」

「ちょっ、佐古っ!」

なんだか良く分かんない内に突然怒り出した佐古の腕にしがみ着き力の限り止めに入る…けど。

「俺達が仲間だと言うなら一人で勝手な事をするな!ケンカくらい俺達が付き合ってやるっつってんだよ!」

そう言った佐古を見ながら…僕と柊は顔を見合わせて。

「プハッ!」
「アハハッ!」

思わず笑ってしまった。

「何がおかしいんだよ!ここは笑うトコじゃねぇだろうが…つか、楓!お前もだ!」

「だって…佐古ったらさ…?」

ケンカに連れてけ…って止めるのが普通じゃないの??
そんな風に言っちゃう佐古が…なんだかすっごく可愛いと思った。

「お前ら!いい加減に座れ!」

そんな僕らに向けて太田先生の怒鳴り声が飛んで来た。
すると…この妙にほのぼのとした空気が一瞬にして凍り付いて…。

「「テメェは黙れ!!」」

僕の仲間内で怒りの瞬発力抜群な二人が先生に向かって同時に怒鳴り返した。


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