愛のカタチ/1.5
B

食堂に入り二人並んで朝食の順番待ちをしながら今日のメニューをあれこれと考えている。

「僕はね…タマゴ焼きがあればいいかな!」

俺の楓チャンは…食い物の話になると途端にニコニコ顔になる。
いつもは引っ込み思案なのに、だ。

「…いつもそんなならもっと可愛いのにな?」

ボソリと呟きサラサラな髪をグシャグシャにかき乱して額にキスをする。

「いいの!僕がこれ以上可愛かったら…佐古が困るでしょ?」

頬を赤らめながらのまるで春日部みたいな物言いに思わず笑ってしまう。

「なんで笑うの!」

「くくっ…お前、色んなモン吸収し過ぎ。」

食い物大好きな所は芹沢似。
変に女王様なコメントなんかは春日部に似てきて…。

「それに…久遠の色気なんかが身に付いたら…俺はマジにお前を手放せなくなるな。」

想像したら…かなりヤバいかもしれん。
ニヤニヤしながら楓所望の洋風セットと俺の中華セットが乗ったトレイを持ち…食堂内をグルリと見渡す。

…と。

「おーい!佐古、西野ーコッチだよ!」

窓際の席辺りでヒラヒラと手が振られ、その主が立ち上がって俺達を大声で呼んだ。

「…デカい声出すなっつーの。」

苦笑いしながら仲間内で最も早起きな二人の元に移動して挨拶をかわす。

「おす。」

「おお。」

「オッハヨー!」

「はよっ!」


…そしてここでも。

年中ギャーギャー騒いでるあの二人がいなくて…なんとなくどことなく淋しいような、そんな気持ちになった。


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