アイデンティティ


「もっ、…ん!」

もう無理。

途切れて聞こえる言霊からその台詞がわかった。知ってる。わからない筈がないだろう。肩が必死で酸素を探してる。固く結ばれた瞼から見えない瞳が濡れてるのさえ手に取る様に。だが、俺の腕も舌も力を緩めない。

頭がおかしくなりそうだ。

馴れ合いだけで済むなら喜んで俺はそうしよう。

離したい。

このまま突き放して何処へでも捨ててしまいたい。なのに、離すことは出来ない。貪っている唇を抱えている肢体をどこまでも繋ぎ留めておけるなら。なんて、浅はかで貪欲な魂か。

「止められるか」

止められるものなら止めてくれ。

囁いた声の甘さに驚いたのはテメェーだけじゃねぇぞ?

嫌いなのに嫌いじゃない。
愛しちゃねぇーのに愛してんだ。

この逆説的な思考が渦巻く最中、俺はそんな単語に思い当たった。

「姉崎…」

「ヒ…魔、く…ん?」

理屈じゃない。


「お前が欲しい」


そう、
アイデンティティだ。

fin.

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070324.
今読み返すと、とても言葉が陳腐です(苦笑)



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