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2.12/苺様


 ぅああ(>_<) 前回は、拍手へのお返事なのにバット系な小話を書いてしまってすみませんでした(汗)
なのにまたコメント下さるなんてっっ!

 あなた記憶喪失verは、僕があなたより自己犠牲な精神が強いため本気で救えない話にも出来ますが、そんなの誰も望んでないと思うので苺様の妄想(笑)どおりハッピーエンドで終わらせたいと思います(*^^*)

―――


 ――あぁ、僕が馬鹿だったのだ。

 心の奥底から湧き上がってきた其れは。


**********


 話がある、とあなたに言われ僕は1も2もなく頷いた。
たとえ忘れ去られていたとしても僕の第1はあなたで、それはこの先も変わらない。僕との事を覚えていないあなたでも、僕は傍にいれて幸せだった。あなたの笑顔を、言葉を、感じられるだけで幸せだったのだ。

 その瞬間まで、確かに僕はそう思っていた。


「――え…?」

 あなたの寮部屋で僕の唇から吐き出された其れは、間抜けなほど室内に響いた。カチコチと鳴る秒針の音がやけに鼓膜に触れて。

 ――記憶がない状態でもあなたは僕に優しく、僕等は近しい友人として毎日を過ごしていたと思う。お互いの寮部屋を行き来し、まるで付き合っている頃の僕等と変わらずに。違うのは、そこにある感情だけ。
 …まさか、あなた自らその関係を壊そうとするなんて夢にも思わなかった僕は、ただあなたの記憶が戻らないようにだけ気を配っていた。なのに。

「だ、からさ。」
 僕の目の前で口を開くあなたは、僕との事をすべて忘れてしまった筈なのに。

 ――それは、もう僕だけの。






「俺、お前の事が…、好きだ」

 どうして。






「ごめん。男同士なのに、こんな事言われても困るよな」
 呆然とする僕の前であなたの唇が動く。

「…でも、もう気持ちが抑えられなかったから」
 熱のこもった瞳で僕を貫くその人は。


 ――ああ、

 ああ、

 ああ。


 僕が馬鹿だったのだ。

 今になって漸く気付くなんて。


「………っ」
 目の前の人は僕の1番大事な人で、唯一の人。その笑顔を守るためなら僕はなんだってするでしょう。これは例え自分がその記憶から忘れ去られたとしても変わらない事実だ。
 でも。

「好きなんだ」
 もう1度僕に向かってはっきりと眼差しを向けてきた人は、

(僕が、愛しているのは、)




『…ごめん、…ごめん。俺、…。…お前の事が、好きなんだ。……ごめんな…。』


 あの保健室で、僕の頬に涙を落としながら抱きしめてきた“あなた”だけなのだ。





 ――記憶を失ったあなたを1番拒絶していたのは、僕、だ。



 あなたの為と言いながら、思い出を僕だけの物にして宝箱に入れてあなたに触らせもしなかった、それに触る事を許さなかった。
僕が愛しているのは、記憶のないあなたじゃないのだから。

 それなのに“あなた”の傍に居たかったなんて、ああ、なんて僕は。


「…ご、めんな、さい」
 涙がポロポロと落ちていく。

「うん…」
 それに応えてくれるあなたの声は、記憶にあるものと変わらない優しさなのに。

「ごめ、なさ…っ」


 好きなのに、愛せない。
僕の心はなんて不可解な構造をしているんだろう。
記憶のないあなたがもう1度僕を好きになってくれるなんて奇跡みたいな事なのに、僕の謝罪は止まらない。あなたの姿が涙で歪んで、溶けて無くなる。
(ああ、ああ、ああ――)








「――ごめん」
 声と共にフワリと抱き締められたのは、僕の謝罪が何回目を迎えた時だろうか。

「え、ぁや……っ」
 瞬間的に離れようとした僕の体をさらに引き寄せたあなたは、僕の耳にまるでモノクロの絵画に色を梳くように。命を宿すように…、いや。

 取り戻すように、囁いた。


「もう2度と泣かせないって誓ったのにな…」

「…っ、!」
 そ、の声は。


「ごめんな。独りにさせて」

 僕の涙を掬い取るように頬を啄ばんでくるその唇は。





「ただいま」

 開けた視界で僕に向かって微笑むのは。


 僕、の。





「――ぅ、あ…っ」
 何でどうしていきなり。混乱する頭より早く僕の心を侵食していく想い。
 逢いたかった、逢いたかった、逢いたかった、――僕の。

「ぅあ、あっ!」
 涙が止まらない。みっともなくあなたに縋り付いて、その胸に頭を擦り付けてしまう。少しでもそれを感じれるように、慈しむように髪を撫でられたらもうそれは壊れた蛇口みたいに。

 ――その声も匂いも体温もなに1つ変わらないのに、あなたが“あなた”なだけで僕はこんなにも、

「す、き…っ」
「うん」
「ぼ、僕が…っ愛し、てるのは」
「うん…」
「“あなた”だ、け…っん――っ」


 ――…秘め事を明かしましょう。
 閉じる必要などなくなったのだから。



 涙味のキスがこんなに甘いと知っているのは、僕と“あなた”だけ。

―――
 僕の泣き顔で記憶が戻るあなたendでした(´ω`)

 僕にとってあなたは、どんな状態であっても特別な位置に属する人だけれど、自分自身をさらけ出す事が出来るのは唯1人。って感じですかね。

 ニュアンスで伝えるの難しい…っ\(^o^)/

コメントありがとうございました 

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