短編物
ある村のイタズラ少年 (2/2)
村人たちは少年への仕返しを話し合いました。一人が言いました。
「さぁ、皆で力を合わせてあの醜いオオカミと戦おう」
村人たちはあのオオカミが少年だとわかっていましたが、次第にそんなことは気にしなくなってきました。
少年が、いつものようにイタズラをしにいくと、村人たちが銃を持って立っていました。
少年は一瞬呼吸が止まりました。
「―え―」
村人たちは少年にむけて撃ちました。
弾が飛び交う中、必死に逃げていきました。
そして少年は村に入ることができなくなり、山の中でひとりぼっちになってしまいました。まさか村人たちが自分に向けて銃を撃つとは思いませんでした。
今まで知らなかった静けさが自分のなかに入っていくように感じました。
そんな時、魔女が現れました。
少年は魔女に歯を剥き出しにしながら、人の姿に戻すように必死に頼みました。魔女は少年を見据えて、それはできないと言いました。
少年は吠えるようになぜかと問いただしました。
魔女は静かに言いました。
「なぜなら、
なぜなら貴方は元から狼だったから」
少年は驚きました。そんな話があるわけないと思いました。
魔女が再びゆっくり話し始めました。
少年がこの山を統べるオオカミの一族のこどもであること。
統べる者として人を知るべくこの村の子として生きていかせたこと。
それを助けるために、魔女がオオカミと人の仲介といて村にいたこと。
すべての話を聞いて、自分がいつも一人でいたことがわかりました。そして、イタズラばかりしていたのに、自分を追い出そうとしなかった村人たちのこと思いました。
村人達にひどい事をしてしまった、謝りたくてももう会うことはできない、と初めて後悔しました。
その時、湖に醜いオオカミではなく真っ白の綺麗な狼に映っていることに気が付きました。
それ以来、村人たちはその少年を見ることはありませんでした。
しかし、山で真っ白な狼を多く見かけるようになりました。
誰かが言っていました。
あの白い狼はこの村を守っているんだ、と。
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今思えば、これ、狼少年と醜いあひるの子を合わせた感じだな。
え、
おい、
二次創作?
2009.7.4(Sat)
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