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02

「ふ〜ん。ここがそうかぁ」

ルッス姐から地図を書いてもらって電車に乗って着いた場所はザンザスの仕事場。

前から行ってみたかったのにザンザスに

「ガキの遊び場じゃねぇ」

と云われて一度も行ったことがなかったのだ。

ルッス姐は苦笑していたけどスクもやっぱり難色を示していた。

確かに中学生の私には敷き居が高い……大きな門を目の前に私は喉をゴクリと鳴らした。







「こんなことならベルに着いて来てもらえば良かった」

とはいうものの、ベルは朝から出掛けてて私が行く事すら知らなかったろし、スクはまだ惰眠を貪っていたし、まさかマーモンに頼む訳にはいかない。

それにルッス姐に頼まれたモノもあるし、ここで止まってる訳にも……

「でも凄く入りづらい」

大きな門は閉まっている訳ではない。

広々と開いている門は、きっと京子たちみんなと手を繋いでも届かないくらいの広さだ。

けれど休日だというのに私から見たら十分大人な男の人や女の人が当たり前のように歩いていて、立往生している私を怪訝な顔で見ては通り過ぎていく。

なんか迷子になった気分だ。ってか、凄く場違い?

このままじゃ埒が開かない。

ザンザスの着替えの入ったバックを両手で抱えて、チョコチップクッキーが入った手提げ袋をグッと握りしめて、意を決意して一歩中に入ろうと足を上げた。








……なんか家出娘みたいだよ、これ。

余計に怪しいんじゃ―――…

「ん?なんだ?お前、家出してきたのか?」

―――やっぱりそう見えるんだ。

と、心中がっくりしながらもこのままじゃマズイと大慌てで声をかけた人に振り向いた。

「あ、あの!違います!!その、ここに用があっ…て、」

言葉は途中で途切れてしまった。

きっとポカーンとした私は酷く間抜けな顔なんだろうな……何処かで冷静にそう思ってる自分がいたけど、やっぱりポカーンとしていて。

「なんだ。デカい荷物持ってるし、あんまりにも挙動不審なんで家出かと思っちまった」

そう爽やかに笑うその人は、我が家の自称王子より余程王子らしく、溢れんばかりの輝かしいオーラを纏った格好良いイケメンでした!!

「ごめんな。でもいつまでも此処にいたら不審者扱いされるぜ。早く入れよ」

「あ、は、はいっっ!!」

ようやくいえたのはそれだけ。

にっこり笑って私には遠く思える門をスッと通り過ぎその人は歩いていった。




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