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ヴァリアー一家に炬燵がお目見えしたのは、十二月に入ってすぐの事だった。





「わー!炬燵だ!!ベルー!やっと炬燵が入ったよ!」

学校から帰ってきて喜色の声を上げたのはヴァリアー一家の長女、由紀。

彼女は嬉しそうに隣に立つベルフェゴールの腕を掴んでブンブン振り満面の笑みを浮かべた。




今まで寒い日にはストーブが使われていた。

そのストーブと炬燵は何年か前にイタリアに住む祖父が

「日本ではこれが愛用されているんだろう?」

と送ってきた昔懐かしダルマストーブと炬燵。

もちろん新品なものだが、それを見たヴァリアー一家は何故か

「う゛おぉぉおーーーい!スゲーぞ!これがジャッポーネかあぁぁ!!!」

「ム、意外と暖かいね」

「あらーん、このダルマストーブのフォルムがステキねぇ!」

「しし、おもしれーぢゃん」

「カスどもが……ジジィに礼いっとけ」

などと気に入ってしまったのだ。

由紀は日本人だけれど、この家族で育てられてるので勿論見たのも初めてだった。

興味津々炬燵に怖々入ってみればとても暖かくて、それ以来毎年炬燵が出るのを楽しみにしていた。




初冬に入りはじめるとまずダルマストーブに火が灯り、主に年少三人組(ベル、由紀、マーモン)が起きたてに独占していることが多い。

何故炬燵がこんな時期かといえば、純粋な日本人は由紀だけなのに、郷にいっては郷に従えとばかりに皆日本文化に重きを置いているらしい。

なので“やはり日本の冬は炬燵に限る”と思っていても家長のザンザスが

「日本じゃ子供は風の子なんだろうが」

と訳の分からない理屈を添えて寒さが本格的になるまで炬燵の出番がこないのだ。

流石にベルフェゴールと由紀が一人部屋になった時に部屋にエアコンを付けてもらったが。

やはり冬の炬燵とみかんは格別なものだった。








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