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暑い……ようやく梅雨も終盤になり始めたこの時期、湿気と気温で由紀もベルフェゴールもバテバテだった。

教室でバタバタと下敷きで扇いでも、風がないのでちっとも涼しくならない。

「もー、今どきエアコンくらい入れて欲しいよね」

思わずそんな愚痴が出るほどで。

つい先日、由紀の隣の席の関根を放っぽり投げて席を奪った(やはり高橋君の隣は堪えられなかったらしいby由紀)ベルフェゴールも今にも死にそうに「同感〜」と告げるだけ。

待人来らずな状態のこの時間、何か涼しくなる方法はないかと思案していた。




「由紀、お前エースくんに頼んでエアコン教室に付けてもらって来いよ」

「あーそれ駄目。この間恭ちゃんに云ったら“いつでも応接室においで”って云われたし」

「チッ使えねー(なに誘ってンだ、あいつ)……間違っても一人でいくなよな」

「えーでも涼しいんだよね。あそこ」

「んだよ、ズリィぢゃん。クーラー入ってるなんて」




「ほんとに暑いよね、由紀ちゃん、ベルくん」

今にも溶けそうな二人の元に来たのは、云ってる割にちっとも暑そうじゃない京子と、逆に由紀と同じくウザそうに扇子で扇いでいる花、そして一人ビクビクと挙動不信なハルだ。

「待ってたよー!!よく来てくれたね、京子、花、ハル」

「あっついわよねー。っつーか、よくあの委員長了解したじゃない」

「ホント、夜の学校で夕涼みなんて出来るとは思わなかったね」

「……は、はひぃ〜〜(ハルは肝試しって聞いたんですけど違うんでしょーか・泣)」

「んー、今日は恭ちゃんも応接室で仕事してるんだよね。だから終わるまで待つのが条件なの」

そう、五人がいるのは日も暮れた夜の学校。

深夜ではないが部活動の生徒も消え、この校舎に残っているのは雲雀とこの五人のみ。

わざわざ教職員すら雲雀の一言で帰らされたのだ。




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あきゅろす。
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