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残虐ヒーロー、女をすくう

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!! かなりやらしくてえぐい上に、青峰が女のひとに暴力してたりするので注意してください。





目が覚めてもまだ夜の続きだった。裸に下着とおっきなTシャツだけって格好なのと首が痛いのは気にしないで、体を起こすと付けっぱなしのニュースだけが薄暗い部屋の片隅を照らしてた。
隣で静かな寝息を感じて目をやる。いびきってかかないのね。存外静かなことを知って、

「青峰、」

っておっきな体を揺らすけども彼は起きなかった。ティッシュの塊をよっつ数えたあと、ふーーーっと長い息を吐いて、掻き上げようとおもった髪がない。そういえば昨日切ってしまったんだった。この男の前で。切られた?まあもうどうでもいい。

体が痛くてベッドから這い出る気力も時計を見る気力もなくて、うつ伏せでまくらに埋もれる青峰の腕を一本拝借したところで力尽きた。大きな手を私の指で縫い付けて歪な結び目を作った。

この時間軸のマイナス方向にある側近の夜は、本当にひどいものだった。成人祝いだと二人でお酒を散々呷った挙句、がぶりと口に噛み付かれたとおもったら、もう一通りをこなす恐ろしい雰囲気になっていた。
昨日はなんで怒ってたんだっけ、もう忘れたけど、お互いの様々を一通り舐め取って息が上がったところで、青峰がどこからか取り出したハサミで私の髪の縛り目からばっさり切ってしまった。やっぱり私じゃなくて青峰が切ったのか。余裕のない中に恍惚の表情を浮かべる青峰の顔を思い返すとまたゾクゾクする。そして青峰はひとつの繋がりでは飽き足らず、私の首に手をかけて二つ目の繋がりとして求めた。青峰の吐くフーッフーッって長い息で、目の前のいとしいひとがナマモノであるということを再認識させられながら、ぎちぎち固く固く締められてく結び目を全力でほどいてく私。解けていく指は言わずもがな魂の開放であって、気持ちいいのか苦しいのか憎いのか愛してるのか、全部混じって吐きそうになるような訳の分からない感覚が襲って、急速な暗転。

『生きてる』

そうやっておもう。
その瞬間は。

「でもね、わたしやっぱり青峰とこうやって手を繋いでる時のほうが生きてる気がするよ」

そうやって残酷に呟いたら、

「馬鹿野郎、寝ろ」

って腕ごと青峰に引き込まれて、切られた髪の毛の欠片がばらばらと布団にこぼれた。そのうちいくつかが、ちくりと頬に刺さる感覚も新しい。

手は、つないだまま。

馬鹿みたいな話ながら、私はそうやって二つの結び目でもってしか、私の世界を確立できないほど脆いものらしい。ただ、まあ、泣かない。こんな残酷な彼がいてくれるから。




構想は『夢/の/あ/と』(×京事×)より

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