Love!
36.傷つく
最遊記、連載
「―――いい加減にしろッつってんだろーがこのクソ坊主!」
「それはコッチの台詞だ!!」
妖怪の団体様用フルコース・・・一人40人がノルマの少しキツい戦いの中で、罵声が聞こえていた。
今にも噛みつそうにつっかかる藍に不機嫌な顔で怒鳴る三蔵。
睨み合いながらもちゃっかりノルマを協力してこなす二人は毎度の事で、八戒や樹晴達は苦笑するしかなかった。
・・・只一人、例外を除いて。
『ちぇ、仲がいいですねーお二人さん。』
「男の嫉妬は醜いぜー?」
『別に、嫉妬してる訳じゃねぇし。』
不機嫌そうに頬を膨らませているのはソラに悟浄はニヤリと笑みを浮かべた。
完全にからかいモードの悟浄を軽くあしらうと、ソラは一人の妖怪に素早く近づいた。
勿論そうなれば妖怪達の的は必然的にソラに向かうわけで。
「お、馬鹿が来やがった」
「俺の一太刀を喰らえ!!」
『・・・何てゆーかさ。』
妖怪が振りかざしてきた巨大な刃物を地面についた両手で回転して避けて、その反動で自分よりかなり大きい男を蹴り飛ばした。
その方向には大量の敵。
パキィッ
『こんな奴らに比べたら断然醜くねぇっしょ。』
ニヤリと弧を描きながら氷漬けにされた妖怪達を叩くと、ボロボロとその場から破片がこぼれ落ちた。
・・・毎度の事だが、何処から凍らせたのかは不明である。
とりあえず自分のノルマは終わったらしく、氷の彫刻の上に腰かけて眼鏡をとりだした。
最近はまっているクロスワードをするつもりらしい。
さっさと終わらせて自分も一服しよう。
そう思った悟浄が錫杖を構えた時だった。
「っ、おい!」
『!?』
三蔵と樹晴の焦ったような声。
ソラは氷の上で見えた光景に、目を見開かせた。
『っ、主!!!』
傷つく
(事を恐れなかった彼女が)
妖怪達の刃を、受けていた。