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Love!
13.慰める


最遊記、連載
12の続き













「・・・っ、何処に行ったんだよアイツ」


あの優男はどうしたんだろうか。
今頃楽しく・・・いや、それはない。彼は自分の主一筋だから。
だとしたら、いや、彼が並大抵な人ではないのは知っている。
それでも、自分と同じ紅に染まった彼を想像すると、嫌な悪寒がするのだった。
と、その時。


ドンッ

「キャッ」

「おい、だいじ・・・!」


ぶつかってきた女にイラッとしながら安否を尋ねようとして、固まった。


「いったーぁい
アタシ、動けないかもぉ。
ね、アタシの家まで送ってくれない、っきゃ!」

「オイ、アイツはどうした!!」


その女はあの時と同じ声の持ち主で。
悟浄はリンランと呼ばれていた女の肩を掴んだ。
当の本人は何のことかサッパリと言うようにキョトンとしている。
それに苛々して、悟浄は手の力を更に込めた。


「ちょ、痛い!」

「お前がさっきまで相手してたヤツを何処にやったかッて聞いてんだよ!!」

「はァ?」

「しらばっくれてんじゃ・・・!」



『・・・何その場で襲おうとしてんだ?このケダモノ。』


平然とした声に、キョトンとした。
恐る恐る振り返れば、別れた時と同じ姿のソラがそこにいた。
ただ違う点を上げるなら、眉を寄せて不機嫌そうにしている事。
だが悟浄が肩を掴んでいる女に気づくと目を見開いた。


「ちょ!」

『悪いけど、コイツも旅の人間だから。
ちょっかい出さないでくれる?』

「ッ、アッチが先に・・・!!」
『君、香水止めて化粧薄くしても十分可愛いよ。
下手な芝居を打つ必要も全くなくなるから勧めとく。
それじゃ。行こう』

「っ!」


言うだけ言うと、ソラは悟浄の腕を引っ付かんでその場から早足で立ち去っていった













『・・・ったく、変なの捕まってんじゃねーのって。』

「それはコッチの台詞だっての!!
ああもう、なんか損した・・・」


心配とかして。とは言えなかったが、悟浄はその場に座りこんでうなだれた。
別にコイツはああいうのは平気だったらしい。
それなのに勝手に怒鳴って、しかも張本人にたしなめられて連れられてくるなんて何てダサいのだろうか。
溜め息を1つ。
ああ、本当嫌な気分になってきた。
と思ったら、スッと目の前に四角い物が差し出された。


『はい。』

「・・・あ?」

『ナンパを見事失敗した沙悟浄君に労いの一個。

・・・後、さっきはありがとう。』

「――――っ」


そう言って微笑む彼は何処か惹き付けられるようなものがあって。
目をそらしながら、悟浄は綺麗なリボンと造花が指してある箱を受け取った。














慰める。
それは時に最大の攻撃となる


















とその時、1ついいことを思いついた。


『さーて、帰りますか。
主も待ってる事だろーし。』

「・・・ソラ」

『何?』








でもそれは













ソラが振り返った瞬間、スッと頭に添えてやる。

空色の綺麗な髪に、黄色のその小さい花はよく似合っていた。
ソラは目をパチクリさせてその存在を確かめるように花にソッと触れると、急にうつ向いて悟浄の腕を掴んで引っ張った。


「うお?!」

『ばばばばば、馬鹿河童!!
こ、こういう事はさっきみたいな可愛い女の子にしろ!!
別に僕に挿したって花が映える訳でもないんだし!』

「いや、十分可愛いぜ?」


特にその反応が。
そこは口に出さなかったが、それでもソラには効果的だったらしく真っ赤な顔を悟浄に見られないようにしながら早足で宿へ向かうのであった。











今の二人にとっては
その威力は未知数らしい。











****

・・・ふう、やっと書き終わりました。
河埜様コメより頂いた案で出来たコチラ。
最初はソラにチョコばかりいく話だけだったのですが、どんどん尾ひれ足ひれがついていき・・・・・私の悪い癖ですね(苦笑
最後のはまだまだ二人はラブラブ出来るぜ!ってニュアンスです。
・・・文才欲しい。どっか落ちてませんかね?
とにかく、コメを下さった河埜様、ありがとうございました!





2/23 猫兎.

[*Past][Future#]

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