Love!
12.囁く(ささやく)
最遊記、連載
10の続き
・・・結構離れてたのに、何で聞こえたんだろうか。
「は・・・?」
「えー、どーしたの?」
「早く行こう?
美味しいチョコ菓子奢るよ?」
両側で手を引く彼女らに引っ張られていながら、悟浄はもう人混みに紛れてしまった彼がいた所を見ていた。
「・・・」
「どしたのー?」
「いんや、何でもねぇ。」
「・・・。」
関係のない事だ、自分には。
そう割りきって二人を連れて遊びに行こうとした時、ずっと黙っていた後ろの女が悟浄の背を引っ張った。
怪訝そうに振り返った悟浄を気にもしないような顔でその女・・・と言うより、少女の方が近いだろう子が真っ直ぐ見つめてきた。
「・・・連れ、リンランに連れてかれたよ。」
「・・・それが?」
「えーソレすっごく運ないじゃーん」
「あのリンランに捕まるとはねぇ・・・」
「・・・それ、どーゆー意味?」
「もう、他の女の事気にするのー?」
「・・・リンランは、タチの悪い女。
かなりの面食いで、彼氏を日単位で取っ替えてる。
その上金をふんだくれるだけふんだくって、オサラバ。
4日前の男は刺殺体で裏路地に棄てられたらしいよ。」
「・・・っ!!」
「まあ貴方には関係ないんでしょーけど。
じゃあ行きましょうか?」
そんなの、どうでもよかった。の、に。
妖しい笑みを浮かべて頬を撫でてきた少女を振り切って、悟浄はきた道を走りだした。
少女は少しよろめいたが、背後から乗っかかってくる重みで何とか持ち堪えた。
見上げれば、ちょっと呆れの混じった笑顔が二つ。
「あーあ、逃げられちゃったぁ」
「まあホモな兄ちゃんもご勘弁だけどね」
「また次の人探したらいいでしょ?
・・・それと、」
自然な笑顔を浮かべた少女は紅い彼が駆けていった道をもう一度みた。
身寄りがなくなった私達には、きっと手に入らない種を、彼らは持っている。
どうかそれが咲いてくるよう、少女は祈った。
「意外にあの二人、ホモじゃないかもね。」
囁く(あの甘い声よりも)
お前のあの笑い声がヤケに
聞きたくなったのは、
何でだろうか