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君と見た世界は
C
誰かが呼んでる。
でも、違う。
名前は自分のモノではない。
その声しかきこえない。
何でこんなに息苦しいのだろう。
「あ゛あああッ」
近くの妖怪を引き裂いて走る。
髪までもが固まる。
血で固まる。
「ほむ…ら……?」
走る。
何故、居ない。
こんなに苦しいのに何で居ない。
何で苦しい?
分からない。
「蒼、大丈夫か?」
「焔!」
ギュッと抱き付く。
収まる。
焔さえ居れば、苦しく無くなる。
「すまない、用事があってな。」
「今度は一緒に連れて行って…。」
「分かった。一緒、会いに行こう…新しい世界を作る為に」
「うん」
誰か分からない。
でも、煩い。
(早く黙らしてやる…。僕には焔が居るんだから…要らないッ。)
ぎっと鋭い目付きで空を見上げる。
早く、しないと何かが壊れる気がした。




全部の触手を避ける。
なぁ、俺の戦う理由はなんだろ?
無くなったのか?
全部、無くなったのか?
本当に無くなってしまったのだろうか?
「俺は…」
誰か戦う理由をくれ。
あの時は確かに勇騎が助けてくれた。
縛る為に名前を与えるだけで側に居てきれたのに……。
何故?
お前は居ない?
「勇騎――ッ!」
叫びながら剣を振るう。
守るモノもある。
支えてくれる人も居る。
何故虚しい?
「誰が悪いとかネェ!背伸ばしてソイツが生きれたら"正義"だ。餓鬼がヒーローごっこにこんな玩具使うんジャァネェよ!!」
金閣が持っている瓢箪を斬る。
半分になった瓢箪が地面に落ちた。
「俺はそんな生き方出来ないけど…。」
なぁ、お前は許してくれなくても生きたい。
どうして良いか分からない。
歩くしかない。
昔と同じ様に歩くしかない。
「そんな生き方出来ないか。あの子が言った通り紫色だ。」
振り向いた時、身体に激痛が走った。
ああ、久し振りに真っ赤に染まる。
いつぶりだろう?
誰かが笑って居る。
向こうで悟浄の声が聞こえた。
今、どうなってる?
なんで、身体が動かない?
「紫!しっかりしろ!」
「くそッ肺の部分を貫通してやがる。」
舌打ちしながら三蔵は自分の服で傷口を縛る。
「ふふふふっ、その紫の髪は赤の方が綺麗だね。お空色の子が言った通りだ。」
空色?
勇騎かというのが三蔵の頭に過ぎる。
けれど、彼女は異界の狭間の中。
「てめぇ!」
悟浄の鎌をよける青年。
三蔵法師の法衣を着てる。
「何者だ?」
「神様だ。ねぇ、お前が竜を殺した三蔵法師?」
何かが三蔵の中でキレたようで三蔵は銃を撃つ。
心臓の辺りに当たったと思うと身体が全部玉と化す。
「な…!?」
「式だとッ!?」
意識があるらしい紫は痛みに呻きながらいう。
「後ろだ馬鹿!」
時すでに遅し、後ろから玉が撃たれて、銃弾の如く身体の肉を引き千切られる。
衝撃と痛みに呻いて倒れる。
「サンゾ〜何処だよ〜」
「悟浄何処ですかぁ?」
悟空の八戒の声。
「くるなっ!」
身体を起こして、叫ぶが遅く、悟空の呻きが響いた。
何故またこんな事になった?
「悲しいね。今までずっとそ―やって生きてきたんでしょ、格好つけてさ」
腹を蹴られた感覚がもう無くなった。
ゴロッと身体が転がる。
「無一物って知ってる?」
次は三蔵を見て笑う。
「僕の先生の受け売り何だけどね。」
仏に逢えば仏を殺せ
祖に逢えば祖を殺せ
ただたるがままに己を生きる事
「わかる?捕らわれてるよ君は…色々とね。君は執着し過ぎたんだ。
生きる事とか
勝ち続ける事にだからね。
君には三蔵を名乗る資格はないんだよ。」
法衣から経文を取る。
三蔵はそれを拒む様に銃を向けたがそこにはもう彼は居ない。
「無様だネ」
あはははははッと笑って三蔵を蹴った。
「三蔵!」
庇うように次の一撃を紫は変わりに受け止めて地面に転がる。
「コイツ等は死なせない…。執着して何が悪い!コイツ等の死体なんて見たくない!生きたいと思うのは生きモノの本質だ。」
身体を起こしあげて、剣を構える。
「馬鹿みたい。震えてるくせに…ネェ。吸血鬼…さん」
玉を剣で受流し、痛々しい骨が砕けてる状態で走る。
切ったと思ったら式でバラバラと玉が落ちるだけ、遊ばれてた。
途中から奴は居なかった。
「ふははははッ……俺は式も見分けられ無くなったのか。落ちたな…」
剣を鞘に戻す。
振り向けば生きてる四人を見てホッとする自分が居る。
情けない。
「御免な、俺は弱いから」
視界が霞む。
「キューぅ……」
「ジープ。車になってくれ、コイツ等俺だけじゃぁ運べないや」
車の姿になったジープの上に血止めを施しながら乗せる。
「がはっ……こりゃぁ…内蔵イッてやがる。」
血を吐いて地面に倒れかける。
ジープに乗込むとジープが勝手に走ってくれた。
坂を降りてからくらいからまた、意識が途切れそうになった。
「紫!おい!」
「悟浄…起きたのか…」
身体を揺らされてゆるゆると視界を動かす。
「起きたのかって…そんな呑気な事言うな!今、自分の身体見て言って言ってんのかよ…」
「あ?目が霞んで殆ど見えないんだよ。どうなってる?まぁ…お前生きてたらいいや」
「馬鹿野郎…」
抱き締められた。
悟浄が起きなかったらどうしようと不安だったけど今は少し安心したと紫は笑う。
右足は骨は突き出て、蹴られた腹は肋骨折れて、指の骨も……。
「俺等…負けたんだな。」
「…………。」
「どうしたら良いか全然分からない。それに…すごく…怖かった…」
「紫?紫……おい!」
動かない。
返事もしない。
「俺だって怖いっての…」


―お前が死ぬかもしれないって


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