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君と見た世界は
@:川と体温
この世に

同じモノなんて

ない。

だって、生き物は死ぬ

季節は変わる。

だから

同じモノは

存在しない。






水の中、空気が口から泡となって出る。
目の前で悟空が我慢比べの様に息を止めている。
調子に乗るから青ざめてきた。
足が釣った様で勇騎は築いて悟空を抱いて浮上する。
「ぶはっ…はぁはぁ」
「悟空、勇騎に付き合ってたら死ぬぞ?」
紫がニァッと笑ってゴーグルを外して言う。
「なんで勇騎は長いんだよ!息止めるのは負けた事ないだぞ、俺!」
「そりゃぁ、魚に敵わないと同じだ。」
「勇騎って魚なのか?」
あまりにも悟空がまじまじと聞いてくるので苦笑いを浮かべる。
肺に水を貯めてもそこから酸素を取る事が出来るから半分は魚に近い。
「さぁ、どうでしょうね。」
また水に沈んで行く勇騎を見ながら紫は溜め息。
大きな川で足止めをくらって、先に進めないので水遊びをしている。
「悟空、ほっうて置け。」
そう言いながら紫は銛を片手に飛び込む。
魚を取ろうとしてる様だが、もう十匹はいる。
「悟空、早く上がらないと身体が冷えますよ―」
「分かってるって!でも…紫と勇騎が……」
「身体の作りが俺等と違うだよ。」
悟浄はそう言いながら煙草を吹かす。
悟空はゆっくり岸に上がると身体をタオルで拭き始める。
「八戒、勇騎は水の中ですげぇ寂しそうだったんだけど…何でか分かる?」
「え?勇騎さんが?」
いつもは無表情か笑ってるか泣いてる顔しか見た事ない。
寂しそうなど悟空が言うならそうだろう。
「でさ、紫がそれを見て辛そうなんだ。」
「二人にも色々あるという事です。僕達が知らない何かが」
「水臭いよ、俺…アイツ等に隠し事なんてしないのに」
「話せるくらい親しいとは思ってないとか?」
悟浄の言葉にビクッと悟空の肩が震えた。
会って間もないと言われてしまえばそこで終わりだ。
「それより、僕達から同情の目で見られるのが一番嫌なんでしょう。」
「俺、絶対そんな事しない。」
「話せると思ったらすぐに話してくれますよ。」
八戒の言葉に悟空は頷く。






紫は戻って来たが勇騎が宿に戻って来なかった。
三蔵は機嫌が悪い。
紫はいつもと変わらない。
魚を八戒が調理しに宿の台所で調理している。
「勇騎は?」
ついに痺れを切らした悟空が紫に聞く。
「あぁ、アイツなら水の底だ。なんでも今日は月が綺麗なんだとよ。」
「身体冷えてないかな…」
「勇騎を心配するなんざ、悟空は変わりモノだな。寒くなんて全く思ってネェよ。」
紫の手が悟空の肩に触れるとビクッと跳ねるように驚いた。
「紫、冷ぇよ!いつまで水に入ってたんだよ!えっと……俺の毛布貸してやるから」
毛布を差し出すと紫は不思議顔。
「これが普通なんだっだ。俺は吸血鬼だぜ」
ワシワシッと頭を撫でる。
「吸血鬼って冷たいのか?」
「自分で体温を作らないからな。冷たいんだ」
冷たいのかと紫の手を取る。
本当に冷たい。
「寒くないのか?」
「いや、此所は暖かい。悟空の手が熱いくらいさ」
「なぁ、三蔵。勇騎って暖かいのか?」
ブッと飲んで居たお茶を吹いた。
「おい、坊主…汚い」
悟浄が睨む。
顔にかかったからだ。
睨まれてもしょうがない。
「この馬鹿猿!」
ハリセンで悟空は叩かれる。
「いつもジープで抱き枕してるくせにな。そんなに勇騎の身体が心地良いかよ」
「てめぇ///」
「鬼畜ヘタレ三蔵法師様が照れたぁ―」
ハリセンを振るが紫は全て避ける。
「まだ下は子供だな!」
「紫、俺は大人だぜ?今夜どう?」
「沈んどけ!」
顔面を殴られ吹っ飛ぶ悟浄。
呆れ顔で紫はそれを見て居た。






シャツとGパンだけ着てる格好で空を見上げて居た。
水からあがり蛍を直接見たくなった為である。
綺麗だと思う。
月は綺麗過ぎて直視出来ない。
「三蔵様、悟空…いい加減に覗きはやめて下さい。出て来ても僕は怒りませんから」
笑う勇騎の視線の先には、木々に隠れてた二人。
「三蔵が煙草臭いから見つかったんだ…」
「てめぇが芋食いながら来るからだろうが」
どっちもどっちだと思う。
「勇騎って暖かいのかなって、気になって…邪魔するつもりは無かったんだ。」
「暖かい?」
分からないので首を傾げる勇騎。
「紫は冷たかったから勇騎は…どうかなって////」
紫は冷たいのは吸血鬼だから大体想像つくのだろうが悟空は多分分からなかったんだろう。
「三蔵に聞いても教えてくれないんだ。」
三蔵の顔を見るが何も言わない。
「今は暖かいと思いますよ。」
ギュッと悟空を抱き締める。
人の身体だ暖かいだろう。
「うわっ!?勇騎〜///」
真っ赤になる悟空。
「勇騎、何やってやがる……?」
三蔵に睨まれるが勇騎は笑う。
「こうしたら一番分かりやすいですから、ね。」
暖かい身体。
柔らかい。
「勇騎、もうすこし太った方がいいって痩せ過ぎ」
肋骨が当たり少し痛いらしい。
離して「痩せるんですか?」と自分の身体を見る。
まぁ基準が人それぞれだから分からない。
「此所、綺麗だな。」
「そうですね。悟空、こんな所で寝たら風邪をひきますよ?」
「でも…勇騎が此所動かないんなら一緒に居る……。」
あまりの寝る早さに呆気をとられてしまう。
地面で寝てしまった悟空の身体を抱き寄せて、自分の黒い上着をかける。
「三蔵様、もう御帰りになった方が良いですよ?」
「いや、此所で良い」
「そうですか…」









「おいおい、こりゃぁいつの間に子沢山になったんだ?」
「ふふふっいつからでしょうね。」
膝枕の三蔵様に勇騎の隣りに寝てる悟空。
「子供には夜更かしはキツ過ぎたんだな。」
「ですね。」
見上げるともう太陽が登ってきていた。
同じ時がもう訪れない。
そしてあまりにも彼等は早く老いる。
早く死ぬ。
「俺等は話しても、何もかわならないから話さねぇのにな。本当にアイツらは欲張りだ。」

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