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君と見た世界は
B
「…何で、何で怒るんだよ!?だってお兄ちゃんがっ」と子供が叫ぶとガァアアッと化け物の方が口を開けて悟浄を襲おうとしたが、後ろから銃声。
腹を撃たれた化け物は痛みに叫ぶ。
「銀閣…!」
「悪人裁いて、ヒーローごっこのつもりか?このクソガキ」
三蔵が銃を構えて言う。
「餓鬼、その魔道具は玩具じゃぁねぇんだ…。餓鬼が持って良いモンじゃぁネェ!人殺しの道具なんざなッ」
「僕…何も悪い事してないっ!僕は只…」
話の途中で化け物…銀閣が彼の身体を抱えて外へと飛び出す。
窓から見えなくなる前にと三蔵は銃を再び構えようとしたが悟浄の手がそれを阻んだ。
「子供に銃を向ける奴が居るヤツがあるかよ!?」
振りほどいて窓を見た時には遅く魔物の影さえ見当たらない。
苛立ちを込めて三蔵は顔に殴りを悟浄に一発あびせる。
「何トチ狂った事抜かしてやがる!?あのガキは敵だろが!それとも何か?あの餓鬼の言う通り、これが貴様の望みなのか」
部屋に倒れる二人。
瞳孔は開いて、屍だ。
動かない。
「あっ……ああああ゛あ゛」
頭が痛い。
何で?
運ばれて来た無残な死体を目の当たりにした時が思い浮かぶ。
どうしたらいい?
「紫!」
「てん…ぽ……ぅ……」
血の海。
天上界と同じ様にお前は倒れる。
「紫ッ!!しっかりしやがれ!」
「…悟浄……俺は…。」
視界がふらつく。
「大丈夫、言って欲しいのか?舐めてんじゃぁネェぞ」
煙草に火を付けようとする三蔵は言う。
「だ、誰がだよ!」
「見え見えなんだよ。」
大丈夫と言って欲しい?さぁ、そんな事を思ったのか?
「ッ!?」
安心感が欲しかった。
自分で築かないうちにそう思ってたらしい。
「何だよ…お前は不安じゃぁねぇって事か?コイツ等かこうなって!勇騎が何処に居るとか…生きてるとかも分からないんだゾ!」
三蔵の胸倉を掴む。
「心配したからこの状況が変わるのか?」
離せ、と命令する様に睨んで来る。
変わるのか?と言われてイラッと来た。
祈ったら何とかなるとまで自分は思ってない。
自分はそんな風に思ってない。
「そんな風になんか思ってネェ!だかな、気持ちの持ち様ってモンがあんだろ!!アイツは……アイツの立場はどうなるんだよッ!」
叫ぶ。
変わっちまったな。
そんなに人でなしになったんだな。
「どんな気持ちでお前をアイツが探したと思ってやがる!!」
「紫もう…やめろって」
悟浄の声が聞こえるがそれは紫は聞く耳を持たない。
ギッと睨んで三蔵を突き飛ばす。
エルフでも人間よりは力は強い。
バンッと鈍い音を立てて三蔵は尻餅をつく。
「てめぇ何てな。金蝉の生まれ変わりでもネェ。俺の見込み違いだったな。」
窓から紫は日本刀を手に出る。
「三蔵サマ、何か言い換えしたらどうたたのさ?紫は勇騎ちゃんのこと…お前が何とも思ってないと思ってるぜ」
この頃殆ど寝て居ないのを悟浄は知って居る。
紫とは部屋を離してたから知らないのは無理はない。
「勇騎ちゃん…確かにお前の事……大切に思ってたがな。」









「この辺りだよな。」
薄暗い森を歩きながら独り言。
いつもなら何かと返事があった筈だ。
そうですねぇって、小さな"え"が付いている返事があった。
今は只の独り言。
(何でこうなったんだろな…)
そう足を一本踏み入れた時、後ろから気配を感じて刀を抜いた。
ガチッと鉄と鉄が当たる音。
「お前はッ…!?」
目の前に居る人物に驚いた。
その人物は天上界の"モノ"だ。
「焔…何で貴様が下界に?俺と勇騎を退治に来たのか?闘神様よォ?」
黒髪と片目だけが金の青年。
その彼は怪しく笑って、「そうではない」と否定した。
「違うだと?違うなら何でお前が此所に居る?」
「その言い草では築いて居ないようですね。」
後ろから紫鴛が現れる。
焔から距離を取ると刀を構える。
「築いてないだと?」
「あぁ、築いてネェ…築いてネェな。」
是音が現れた時点で三方向から囲まれてしまった。
「五月蠅いな。てめぇの頭と胴体と二つに分けるゾ?」
集中しろと自分に言い聞かせながら、前を見る。
エルフの身体で勝てるか?
息を深く飲み込む。
「そう怒るな。蒼(そう)には会いたくないと言うのか?アイツはお前に会うのを楽しみにしてるんだ。」
「蒼だっ…と……。てめぇ等!何処でそれを!アイツが生きてるんなら、どうして此所に来ない!お前等の情報なんて当てになるかよッ」
「何を言ってるんです?此所に?ふふふふっ」
紫鴛は馬鹿にする様に笑う。
焔も同じくだ。
何故笑う?
何が間違えている。
「お前、アイツにした事を忘れたのか?喋れない様に喉を引き裂いた上に御丁寧に記憶封じだ。恨まれない様に…自分が可愛いかったんだろ?」
「違う!俺はッ……俺はそんなために………」
首を振る。
そんなつもりじゃぁない。
「アイツからの伝言だ。"貴様の首を食いちぎりに来る。必ず…あの猿も同じく"だそうだ。精々…その間……アイツらと仲良くしとくんだな。」

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