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君と見た世界は
C
あれから一時間、勇騎は、隣りでバイクが走って居るが寝息を静かにたてて寝て居る。
ちなみにそれを見て、紫は運転しながら溜め息。
まぁ、自分が血を吸ってしまったので、それを回復に専念しているのだか、よくもぁ〜昼も夜も寝られるなぁといつも思う。
「蜂蜜……は…ち……み……。」
激甘党の勇騎はそう言い、ゴロッと寝返りをうつ。
「そろそろ、起きろよ…。
…………。
起きろどぁあほ!」
耳元で叫ぶと、ビックと身体を動かすとゆっくり紫を見た。
顔に黒線が入ってる。
「紫……そんなに怒鳴らなくても…。」
「怒鳴らなかったから、お前…起きないだろが」
そう返されて、返す言葉が無い。
「それにしても、あちらさん…五月蠅いですね。」
ジープでは、ぎゃぁ―ぎゃぁ―と後部座席の人間が叫んでる。
たまに女子席の三蔵法師が銃を打ってるし。
「俺達、やっていけんのかな?」
「うん〜、難しいかもしれません。」
隣りを見る度溜め息。
「女ぁ、居ねぇ…」
「居ますよ。」
自分を指差す、勇騎。
だが、「お前は女では無く男」と返された。
「何で!こんなに…可愛いのに……」
「童子顔だからだろ…。男の…」
………………。
それがショックだったのか、軽く啜り泣き。
「分かったから泣くなよ…。」




「あ―マジ、泣きそう…。」





その10分後宿で出されたご飯は、中華。
だが、悟空の食べっぷりを見て食う気が失せてしまった。
「生肉…」
死んだ目の勇騎。
無理も無い、目の前に置かれた肉は全て、揚げたり焼いたりしてしまった物ばかり。
元気を出せと、肩を叩いてやる。
ニンニクのせいで紫も食べれはしない。
「お互い大変だな。」
おいしい〜と食べる悟空。
勇騎と紫は青ざめて、血の気が無い。
「紫さん…大丈夫ですか?」
八戒が心配して、聞いてきたので、「少し気分悪いみたいで…僕、紫を連れて先に休ませて下さい。」と勇騎が返して、紫を立たせた。
廊下を歩いて階段を上り、会話が聞こえない所まで行くと、深く二人は溜め息を付いた。
何故、自分達が人に気を使わなくてはならないと、少し苛つきがきたのだろう。
特に勇騎は、目の色が灰色から青に変わって、竜化しかけている。
「押さえろ、勇騎。半竜になったら、妖怪に間違われるぞ。それとも腹でも減ったか?」
聞くと、さっきとまるで別人の様に髪まで濃い青に変わる。
顔に少し鱗が現れ、薄く光を反射した。
「いえ、あと五日は…大丈夫でしょう。子供一人…残さず食べましたから、今は普通です。」
部屋の鍵を開けて中に入る。
カーテンを閉めて誰にも見られない様にして、勇騎はベットに寝転んだ。
「そう、言いながら、獲物を見つけた様な顔してるぞ」
「分かってしまいましたぁ?さっき…町中で妖怪を見つけたんで…食べた事ありませんから、妖怪を食べみようかなって」
話している所でも、牙が除く。
「じゃぁ、俺は先に貰おうか…」
手を掴み、爪を食い込ませると、そのまま抉り、血を吹き出させる。
竜の血が口に広がる。
少量でも身体が満たされていくので、無理に飲む必要が無い。
「紫は…吸血鬼なのに……血が嫌いでしたね。」
「悪いか…」
睨むと、勇騎は笑い、「別に…」と返した。
人間なら大量に飲まなくてはいけない。
だが、勇騎の血は、魔力さえも、溶け出している。
勇騎の傷口が塞がると同時に、紫の腹は満たされる。
「じゃぁ、僕は狩りに行きますかぁ…。」
「やめとけ、今は三蔵サマが起きてるから、アイツらが寝てからにしろ」
「じゃぁ、そうします…。それまで、寝ていましょうか、ね。」
月明りだけの部屋で、竜と吸血鬼は笑った。

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