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君と見た世界は
F
「悟空が戻って来ない?」
「水を取りに行ったままです。」
勇騎と紫は顔を合わせた。
「今の八戒さんはいつ倒れるか分からない状態です。心配を僕はこれ以上かけると身体に毒、この事は内密に」と勇騎はそう言って歩き出した。
「僕なら死にませんから、僕が探しに行きます。」
「あぁ、できるだけ早く帰ってこいよ」
紫はそれを目で見送ると頭をかいた。
さぁ、どうしよう。
これをどのように、言い訳しよう。
勘の良い八戒の事だすぐ変な嘘はバレてしまう。
「紫、勇騎ちゃんは?」
「あの馬鹿は道草くってる悟空を探しに行ったよ。それより、洞窟から出てクンな。危ないだろが」
「あの〜ねぇ、紫が言うセリフじゃぁないだろ。傷だって…」
「傷ねぇ。もう治った」
あぁ〜とシケた目で言う。
そんな筈はないとバタバタッと服を触ると後はない。
「お前等の身体の作りが違うんだよ。それに勇騎は死なないから心配すんな」
笑って言うと「死なないって…」と悟浄は少し悩む様に腕を組んだ。
まぁ勇騎の回復スピードーを一回も見てない悟浄には不安になるだろう。
あまり、激しい戦いをしていないからだと思うが、それはそれでラクなのだが、心配されるのは慣れていないので違和感がある。
「まぁ俺より頑丈だって、お前が撃たれたら即死だった傷も、もう治ってる俺よりだ。心配するな」
「勇騎ちゃんっていつもそうだよな。」
「何が?」
「自分一人で抱えて何も話さないし、俺だけじゃ―なく三蔵にもだぜ」
そう言われたが紫もあまり知らない。
お互いに自分の事は最小限にしか話さなかった。
だから、聞く気もなかったし自分も話す気がなかった。
「話したら、どうにかなる問題じゃぁねぇって分かってるからじゃぁないか?」
そう言うと悟浄は眉間に皺寄せして、なんだよと文句がある様な顔をした。
「分からないって…話さないとどうにかできるモンも分かんねェ―つうの」
「無理だな、アイツの望むモノはお前は無理だし、俺も無理だ。」
「勇騎ちゃんの望むモノってなんなの?」
「それはな……お前に言ったら広まりそうだからやめとくわ」






「勇騎!紫!」
手を振って俺は喜びの声をあげながら、近寄る。
振り向く二人は少し不陰気が違って居て勇騎はいつもより自然に微笑みで紫はなんだかいつも違う。
「こんな所にまた来て、どうかしましたか?」
勇騎と紫の近くまで行くと、自分の目線が低い事に気が付いた。
その低い目線に勇騎は中腰になって合わせてくれた。
「だって、紫と勇騎に会いたかったから…。ずっと、来てくれなかっただろ?」
毎日会ってるじゃぁないかと思ったが身体が勝手に動く。
「随分、懐かれたな。」
頭をかく紫は何やら困った表情をして居た。
「紫だけでも此所に残ったらどうですか?僕の"用事"なんですから」
「此所に居ると耳から脳が溶け出しそうで寒気がすんだよ。」
うぁあッ気持ち悪!と腕をさすり、さぶイボを引かせようとした。
「ホント、此所の人間は…よく耐えれますね。悟空は暇ではないのですか?」
「ううん、だって――や――兄ちゃんや―ちゃんも居るから、楽しいよ。」
誰?
聞こえない。
けれど、勇騎も紫もその言葉を聞くと微笑んだ。
それは嬉しいが、誰だか気になった。
「けれど、僕には少しばかり眩し過ぎますかね。」
「お前はネクラ過ぎるんだ。」
「紫たら酷い〜」
ぶりっ子にならんでいいとバシッと頭を殴った。
痛い〜と言ってもいつものとおりにフンッとそっぽを向く。
なんでこんなに二人は楽しそうなのだろう。
今と何が違うのだろう。

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あきゅろす。
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