HEAD
4(R18)
 硬い布地が素直に伸びて、臨也の腰回りを広げた。
「ちょ…二度と穿けなくなったらどうしてくれるの」
 少し焦った声が心地いい。慌てて衣服を剥がす彼を見ながら、静雄も自らズボンを緩め脱ぎ捨てた。
 互いに下着一枚になって、刹那睨み合う。素肌を晒してしまえば、しがらみも何もない。ただの臨也と静雄は、あんなにも殺し合っていたのが嘘のように胸高鳴らせていた。
 恐る恐る記憶より華奢に見える肩に触れる。頬を両手で挟まれた。静雄の足の間に割り込むように膝立ちになった臨也を見上げ、唇を重ねる。舌と舌が擦れ合うとき、臨也の紅い瞳がそっと閉ざされた。頬に影を落とした長い睫が静雄の目元を擽る。それが何故だか嬉しくて、彼の背に手を回した。
「ん…シズちゃん」
 緩く髪を混ぜられる。こうなった契機の言葉の不穏さが嘘のように、大切にされている錯覚があった。
「臨也──」
 確かめるようにゆっくりと、臨也の手が静雄の体を伝い降りる。鎖骨を辿って、胸へ。強く刻む拍を確かめるように心臓の上に触れられ、目を伏せた。
 彼を視界に捉えない分生々しさを増したような滑らかな素肌を恐る恐る撫でる。背には薄く筋肉が張っていた。 知らず警戒を解いていた足の狭間に臨也の手が這い、頭をもたげたしずおにやんわり絡む。初めて他人に触れられたそこから痺れのようなものが脊髄を満たし、とろり、と透明な蜜が先端から零れた。
「っ…」
 それが臨也の手を濡らしたのがわかると、何故だか無性に悔しくなって、負けじといざやを掴む、としっかりと屹立したその熱さ硬さに驚いて思わず手を引いた。
「ん…いいよ。ちゃんと触って」
 臨也の甘い声に促され、もう一度手を触れさせる。軽く握る、としずおをゆるゆる扱き上げられ内腿が小さく震えた。奥歯を噛み、乱れる呼気を殺して真似るようにかれをゆっくり扱きたてる。
 臨也の紅い唇が薄く開き、溢れ出す息の熱さが静雄の頬を擽り、ぞくぞくと胸高鳴った。思わずぺろりと舌先を覗かせ自分の下唇を舐める、それに引き寄せられるように唇を落とされた。
 初めて触れる他人の性器は、自分のものよりずっと熱く生々しく、どくどくと脈打つ鼓動までも静雄の手に抗うような力強さがあった。根元から先端に向かい梳き上げる。静雄の動きに沿って臨也が煽り、呼気を震わせた。先端に滲む透明な雫を指先で掬われる。透明な糸がすう、と伸びた。
「もう少し足を開いて」
 鈴口を抉るように蜜を集めた臨也の、濡れた声に圧されるように膝を開く。


2019.3.5.永


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