HEAD
3(R18)
 人を人とも思っていない臨也は外見的に恵まれたものを持ってはいても、どこかそういう行為からは縁遠いように思っていた。
 だが、あまりに開放的過ぎる寝室で、外気を必要以上に受け入れているベッドの上に。静雄を横たえその腰に跨がった臨也が、無造作に上衣を脱いだ。そうすることで露になった細いなりに筋肉のついた男の上半身に、静雄は知らず息を飲む。彼の肉体が己と同じ種族であったことを改めて認識し、そしてそれをずっと欲していたと確信して。恐る恐る伸ばした手は拒まれなかった。
 そっと二の腕に触れる。硬くて、細くて、壊してしまいそうでどぎまぎした。
 彼が身を寄せてくる。頬からこめかみにかけてするりとなで上げられた。その温もりが泣きたくなるほど嬉しい。疾うに、諦めたつもりでいた。なんといっても臨也は非常に性格が悪いことを知り抜いていたし、それでも女にとてもモテることだってわかっていた。だから、静雄に限らず男を相手にすることはあるわけがないのだ…と。諦めと同時に未練も捨てた気でいたのに。性根が如何に腐っていようと彼が綺麗に見えるのは確かで、胸が勝手に高鳴る。
 心が冷たい分体は温かいのか、手が触れる箇所全てが心地良くて、それだけでとろとろと溶かされていくようだ。こんなにも、こんなにも臨也が好きだったのだと改めて自覚して、それでも彼は弁償にかこつけて自分を好きにしようとしている悪人で、なのにこんなにも愛おしい。相反する思いがぐるぐる渦を巻き、気が狂いそうだった。
 唇が確かめるように触れ合う。そっと目を閉じた。彼の舌がぬるりと静雄の唇をなぞる。知らずほお、と息を零した。
 幽のくれた服を、あの臨也が解いていく。素肌に触れる外気の冷たさに息を震わせた。素肌を辿る臨也の指の温かさが静雄の体に火を灯していく。まだ下着から取り出されぬ雄が布地を押し上げ存在を主張した。
「──良かった。君が、反応しないんじゃないかと思っていたんだ」
 柔らかい声音に嫌味を感じ取れず頬な血が昇る。彼に触れられて喜ぶ心が、素直に芯を保った自身を責めさせない。その代わり、消え入りたいほどの羞恥に苛まれ、臨也のスウェットを引っ張った。


2019.3.2.永


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あきゅろす。
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