HEAD
プロローグ
 金髪の化物を初めて自分の目で見たとき、想像したより可愛らしい顔をしているのだな、と思った。中身は前評判を裏切らなかったけれど、それでもその容姿に対する評価を損なうほどではない。制御できないはずの獣を御するのも、たまには悪くない。
 そんな考えの許行ったファーストコンタクトは案の定最悪だった。臨也としては、精一杯──そう、精一杯気を使って言葉を選んだのに。すげなく断るばかりか、暴力で応じた静雄に、ますます高鳴る鼓動を感じた。
 何しろ当時の臨也は、扱い難いほどに中二病を拗らせた結果、自分がその気になれば一国の主であっても掌で転がせるという根拠のない自信に満ちていた。年若い女子が次々寄ってきて言いなりになるのもその自負を強めた。だから、初めて、操ろうと歩み寄り、それがなせなかった静雄に否応なく興味が増した。どうにかして彼をおとしてやると思った。
 ──そうやって、池袋を派手に巻き込む接触を繰り返し、もう十年が過ぎている。


2018.1.28.永


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