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観察日記
 平和島静雄の観察二日目。心なしか、ただでさえキレやすい彼の沸点が低くなった気がしないでもないが、よくわからない。きっと、どうせだから何かしら変化がほしいという願望のせいだ。
 ──そうは、思うのだけれど。ただ普通に歩いているだけで電柱に衝突し、無機物にキレるなどやはり尋常ではない。
 おかしい、けれど──確信の持てぬことで臨也を喜ばせるのも腹立たしいと報告しないことにした。
 静雄は深夜になっても寝付けぬらしく、自室のシャワールームでシャワーヘッドに当たり散らす。波江は冷ややかな目で静雄の映像をただ眺め夜を更かした。
 ──平和島静雄の不機嫌は翌日も続く。危機回避能力の高いトムは、普段の3倍もの距離をとって行動している、これはやはり気のせいなどではないのだろう。これを報告して喜ばせるかどうかはともかく、頭の隅には書き留めた。
 誰もいない公園でポールを振り回す静雄は今日も夜更かしするらしい。これが臨也如きの不在が原因なのかは定かではないが。


2017.5.4.永


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