HEAD
エピローグ(R18)
「っ…な、あ──」
 大きく息を吐き、いざやを迎え入れる。幾度となく行為を重ねたのに、いつもどこか新鮮で胸が締め付けられる。
「──っ、な、に…?」
 それはきっと、いくら戦っても汗ひとつかかないような臨也の額から頬へ綺麗な雫が伝い、紅い瞳が欲に濡れて恍惚と静雄だけを捉えてくれるからだと思う。そして、そんな彼の視線の先に唯一存在する静雄は、こんなに素直でない臨也に、確かに愛されていると再認識できるのだ。
「んなこと、するの──俺にだけ…だろ」
 臨也の動きが一瞬止まる。すぐに口端を吊り上げた。
「自惚れるなよ」
 臨也が笑うと共に、静雄も笑みを返した。こんな──こんなことでは、自惚れるなという方が不可能だ。だって、臨也は。この自分の想いを漏らすのを厭う臨也の瞳が物語っていた。臨也が余裕なく溺れるのは、静雄だけだ。
「俺が…っ…愛しているのは、人間だけなんだから。化物の、シズちゃんなんか…」
 乱れた息を途切れ途切れに、臨也は静雄を乱暴に抉る。抗い難い波に意識が朦朧としていく。揺すられるままに声を上げながらも、静雄は気分が良くて仕方なかった。臨也は、愛している人間と、常に一線を引いている。その細い細いラインがなくなるのは、ここにあるときだけだ。


2016.5.4.永


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