HEAD
2(R18)
 言ってはみたものの、まさか本当にヤってくれるなんて思っていなかった。
「ん…」
 しかし、今眼前にさらけ出された絶景を凝視する。バーテン服のズボンの前建てを開き、ベルトを緩めて膝立ちになった腿に下着ごとそれらを絡ませて。甘く濡れた息を断続的に漏らし、屹立したしずおに指を絡ませる。
 破壊を知り尽くした手がかれを扱うとき繊細に動き、それを助ける先走りが溢れて濡れた音を立てる。自分の呼吸すらも邪魔になるほど静まり返った空間で、静雄の奏でる音だけが耳に優しい。ジーンズの内側で硬く反り返ったいざやが下着に締め上げられて痛みすら覚えた。
 もどかしくチャックを下ろし、恍惚とした彼の口元に突き付けた。
「舐めて」
 向けられた瞳は熱に濡れている。浮かされたように臨也を見上げ、いざやに纏わる。
 薄く開いた唇が寄せられた。
 熱い唇の狭間から漏れる呼気に鈴口をなぶられ息が乱れる。期待に高まったいざやから透明な蜜が静雄の下唇へ滴った。それをぺろりと舐め取ったそのままに、舌が絡む。
 輪郭を辿りゆっくりとエラをなぞられ、腰が小さく震えた。微かに濡れた声が漏れ、奥歯を噛み締める。静雄は睫毛を伏せ、しずおから離した手で臨也の腰に触れる。下着ごとジーンズを引き下ろされた。
 互いに腿にズボンを絡ませ、上半身裸の間の抜けた格好で、意に介す余裕もない。
 臨也は静雄の、傷んでパサつく髪を撫でる。
 小さく喉が鳴った。
 側頭部を慰撫するともなく押さえ、乱れた息を零した。喉の最奥限界まで迎え入れられたいざやを自ら擦り付ける。下生えが柔らかな唇になぶられ、静雄の肩が強張る。
「っ…く──」
 呼吸を妨げる分締まる咽頭と、涙に潤む瞳が堪らない。しかし、一瞥したしずおがうなだれているのを見てしまうと我に返った。小さく息を呑み、腰を引く。
 解放されると同時に咳き込む静雄の背を撫で、欲の名残を色濃く残した声で呟く。
「辛かった?」
「…手前のせいでな」
 口許を手の甲で拭う静雄は、しかしさほど怒気を孕んではいなかった。


2016.4.11.永


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