HEAD
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 電車に乗ってやってきた遊園地は、さすがに混雑していた。その中でも、白黒のクローンみたいな二組は悪目立ちした。そして、クローンの白い二人が幼子のように目を輝かせきょろきょろしているのだから一層。
「乗りたいもんはあるか?」
「えーっとね、サイケは、アレ!」
「俺はあれがいい」
 サイケはまっすぐお化け屋敷、デリックは観覧車を指差し、子供達の視線が合う。
「俺が先に言ったんだからな」
「サイケの方が早かったよーっ!」
 そうして、外見上成人男性にも拘わらず幼子のごとき喧嘩を始める。
 ──とっても、目立つ。しかも、ああ──キレたデリックが手近な電灯を引き抜いた。
 静雄は溜息をかみ殺し、デリックを押さえ込もうとポストを持ち上げる。臨也の盛大な嘆息が聞こえた気がした。その一拍後にはサイケの袖口から銀色のナイフが現れる。間もなく臨也のコートの袖口からもナイフが滑り出た。
「お子様だからって、なんでも許されるわけじゃないんだよ…?」


2014.4.2.永


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あきゅろす。
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