HEAD
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 臨也と、サイケとデリックを連れ静雄は休日の新宿の街をポケットに両手を突っ込んで猫背でさかさか歩く。
 目的も行き先も告げぬ外出にもサイケは諸手をあげて喜び、デリックは反応こそ薄いもののどこか嬉しそうに頷いた。臨也は眉を顰めてみせたものの同行すると言い出した。
 歪な形ではあるけれども、家族のようだと思う。子供がいて、両親がいて──
 幽と両親とみんな揃い出掛けることはあまりなかったけれど、だからこそたまの外出はただの買い物であっても何やら特別に感じたものだ。力が目覚めてからは、将来自分が親になり家族で出掛けることなどできないとわけもなく確信していた。
 そっと袖に触れてきたサイケと手を繋ぎ空を仰ぐ。数歩先では臨也の黒い背とデリックの白い背が相前後している。どうにもウマが合わないらしい彼らは喧嘩にもならない言葉を交わし、互いにつんとそっぽを向いてしまった。


2013.3.13.永


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