HEAD
2
「シズちゃん、この子達が見える?」
 いつもわけのわからぬ男だが、どう見たって普通の人間として存在している二人の青年を指差してそう宣う臨也は、静雄にとって常以上にわけがわからなかった。しかも示された二人は自分と彼にそっくりだったりするから混乱も一入だ。
「見えるぞ…?」
 とりあえず視認できる事実だけを伝えると臨也は額を押さえふらりと壁に上体を預け、臨也にそっくりな白い服の男が静雄に飛び付いてきた。
「見えるに決まってるよねっ、会いたかったよーっ!」
 反射的にその細い体を抱き留め、静雄は困惑露に臨也を見やる。
「どういうことだ、一体」
 その問いに答えたのは、白いスーツ姿の、鏡の中から抜け出してきたのではないかと思うほどに自分に似た青年だった。
「あんたらの、‘子供’だ」
 だがしかし、その発言は静雄の状況理解の助けにはならなかった。
「…は?」
「パパがね、びっくりするばっかりで困ってたんだ」
 続けてそう言って臨也を指差す男は、どう見たって臨也の子供なんて年齢には見えない。口調こそ幼さを保っているが、20代にしか見えないのだ。これで臨也の子供であるのだとしたら、2、3歳で女を妊娠させていることになる。いや、臨也の子供に相応しい年齢の幼子が現れる方がもっと嫌だけれど。実は弟がいたのだと言ってくれた方が余程マシだ、いっそ夢だと言ってほしい。
 サイケを抱いたまま固まる静雄の手を自分そっくりの男の手が握る。
 その温もりで痛感した。これは、さっぱりわけがわからないが俺の息子であると。
 静雄と同じ目線の高さで彼は、そっと口端を吊り上げた。
「はじめまして、父さん。俺はデリックっつうんだ、よろしくな」


2014.2.3.永


4/13ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!