OTHERS
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「っ…わ、失礼しましたっ!!」
断る前につい、開いてしまった障子を勢い良く閉める。状況に思考が追い付かないながらに、なにやら動悸がする。
今、七松小平太と中在家長次がぴったりと寄り添っていた。
なにがなんだかわからない。そりゃあずっと同じ部屋で何年も寝起きしている彼らのこと、不思議でもないのかもしれない。竹谷と同室者だって、第三者から見たら異様に距離が近付いていることくらいあるのかもしれない。
けれど。
竹谷は肩を落として踵を返す、その足が四郎兵衛にぶつかった。
「…風呂に入るか」
泥だらけな彼に、考えなく話しかけた。
四郎兵衛は一瞬間を置き、こっくりと頷く。それならばと抱き上げた体は、見た目に相反せず軽いけれど、その温度は熱いくらいだ。そんなところに彼の幼さを感じ、お子様体温を保った小平太を思う。鼻先に触れる髪からは、土の匂いがした。
2015.10.23.永
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