LOSE
3(R18)
 いけ好かない男は、それだけであってくれれば良かったのに。口付けを交わしたくらいで、傷付いた色を瞳に過ぎらせるなと言いたい。本音で向き合うことすらしてくれないくせに、青少年の心を掻き乱すなと。
 彼がそうであるのと同様に、自分も勝手なのは自覚していた。他者を振り回すのが臨也のアイデンティティであることも、また。理解などしたくなくとも刷り込みのようにわかっていた。
 正臣は臨也の首もとに鼻先を寄せ、深く彼の香りを取り込む。
 ぎゅうぎゅうに後腔でまさおみを締め上げられ、汗ばんで骨ばった肌の匂いが心地良い。
 こんなこと、我ながらどうかしている。しかし、そもそもどうかしていなければ臨也と一秒だって共には居られない。
 ──好き、とか。愛しい…とか。そんな似合わない言葉が溢れそうな情動をごまかし、無防備に拍を刻む頸動脈へ歯を立てた。
 快楽にとろけた臨也が身を強ばらせるのにも構わず、ぎりぎりと。


2015.5.23.永


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