GORILLA
2(R18、内視鏡)
 医療機関に頼らずとも体内を個人的に見られるというのは山崎にとって画期的ではあった。勿論、相応の知識がないと健康診断などはできるはずもなく、尊厳やプライバシーを守った格安の自己チェックとはいかない。
 だが、それには別の価値があった。何しろ、オモチャよりは格段に安全に、好いたお人の内臓の内側まで暴けるのである。いつもやまざきを熱く柔らかく受け入れてくれるその内部は、彼自身ですら視認したことのない未知の領域だ。そこを、初めて──勿論、近藤の同意を得るのが最大の課題ではある。だが、素直な近藤ならきっと頷いてくれると思っていた。
 案の定、健康診断でも行われることだと説明し、アンタの尻はいつも酷使されているのにと泣きついて、他の行為をしたいときの数倍の時間をかけると漸う近藤も顎を引いた。そうと決まれば善は急げと彼を褥に座らせ、備え付けのテレビを近くに寄せ、画面とブツをコードで繋げ、潤滑油をスタンバイして山崎は鼻息荒く微笑む。
「さ、足を開いてください、局長」
「う…うん…」
 その勢いに少したじろぎながらも近藤は小さく頷きおずおずと下肢を左右に割開く。腿に押されて寛げられた着物の狭間に白い褌がちらりと見えた。
「じゃ、失礼しますよっと」
 遠慮なく褌の結び目を解く。ぎゅっと近藤の目が閉じられた。
 ローションを掌に垂らし、人肌で少し温める。透明な液がべったり纏わりつく手で黒い管を軽く握った。テレビ画面が俄かに暗くなったのを一瞥し、近藤の足の間に正座する。
「っ…いきなり…?」
「大丈夫、痛くねーです…でも、ヤバいと思ったらいつでも言ってくださいね」
 にっこり笑いかけてやると、潤んだ瞳が確かな安堵に染まった。
 べたべたした粘液を纏った手で彼の後ろを弄り、探り当てたそこへ管の先端を近付ける。山崎の左手のテレビ画面に山崎にとっては見慣れた毛をたっぷり蓄えたあまりに生々しいそこがしっかりくっきり映って、近藤はいたたまれないように右腕で自分の目を塞ぐ。
「せっかくだからちゃんと見てくださいよ、局長」
「──ザキの、バカァ…」


2018.10.21.永


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