SOUL
4(R18)
 肩を震わせ、一頻り笑い合い、そしてどちらからともなく唇を重ねた。あんなところで長い時間を過ごしていたらしい高杉も、しとどに濡れた近藤も気付かぬうちに随分と冷えていて、触れる舌の温かさに心まで溶かされていくようだった。近藤には脱げと言っておきながら自分は笠を外したのみの高杉の着物はうっすらと湿っていて、触れるとひやりと貼り付くようだった。
「高杉も脱がねーと風邪を引くぞ」
「脱がせてくれよ…なァ、近藤」
 低い音は確かな媚態を孕んでいて、小さく喉が鳴った。
 恐る恐る胸元に手を這わせ、元々緩く羽織っているそれを開く。骨張った肩と、薄いながらに筋肉を纏った男の胸が露になり、大きく息をついた。高杉は喉奥で笑い、近藤の浴衣の腰に手を回す。抱き寄せられるままに身を重ね、高杉ごと布団に倒れ込んだ。
 仄かに桃色がかったシーツに彼の髪が散り、鮮やかな着物を半身に絡ませた高杉が近藤を見上げ笑む。彼の手がそっと項に回され、緩く体重をかけられた。それに抗わぬまま顔を寄せ、唇に唇を重ねる。少し苦い味の染み付いたそこは眩暈がするほど柔らかくて、胸が詰まりそうだった。
「っ…俺──」
 そう思っただけで少年のように雄が硬く芯を保つ。と同時にこんなに綺麗な彼に対して抱いてはいけない劣情であったように感じられて、声が動揺に上擦った。
「構わねェさ…俺がそう言ってらァ」
 甘い響きに励まされ、素肌に手を這わせる。
 ひやりと冷たい肌は近藤の手に吸い付くようで、ゆっくりと辿ると徐々に熱を持つ。高杉がもどかしく腰を身じろがせ、少し濡れた息を零した。どくどくと高鳴る拍を刻む心臓に唇を寄せる。堅く芯を保った尖りへ、大切なもののように口付けた。
「っ…」
 ぎゅ、と後頭部を抱かれる。唇を打つ鼓動の強さにどうしようもなく安堵した。彼の膝の片方が立てられ、近藤の脇に腿を押し付けられる。


2019.8.29.永


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あきゅろす。
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