GROWTH
近藤と高杉(近高、R15、現パロ?、ナチュラルに公式パートナー)
「ちょ、待っ、痛い痛い痛い!」
「は…ちっとくれェ、我慢しなァ」
「違ッ…毛! 挟んでるからァ──イタタタタタ! 抜いちゃダメだってばァ!」

 初めての公式パーティは出るまでにもう散々だった。
 高杉はなんだかんだ言って育ちはいいから、キチンとした格好も様になる。だが近藤は違う。尻も前も、下半身の大切な辺りの周辺に常人より明らかに多い毛を蓄える近藤に高杉が選んだのが、ほとんど紐みたいなパンツだったのは大いなる間違いだ。ラインが出ないから粋だと高杉は言うが、パンツから盛大に毛がはみ出し、決して誰にも見せられない下着姿になってしまった。しかしそこで高杉に苦情を告げても、てめェは俺以外の誰の前で脱ぐ気だと冷静に切り捨てられてしまった。そう言われると、公式パーティにパートナーとして共に参加する身である、酔ったらわからないだろうとは返せない。
 はみ出している毛はタイトなズボンに押し込まれ社会の窓を閉めるときに引っかかり、なんとかチャックを上げて燕尾服を着付けられてからも痛みが治まらない。おかげでパーティが始まってからも非常に集中力を欠いている近藤に気付いていないはずもないだろうに、パートナーが一見キチンとフォーマルに着飾ってから高杉は近藤をあまり構わず、周囲へ満遍なく気を配り立食形式の会場にすっかり馴染んでワイングラスを傾けている。近藤よりやや明るい揃いの燕尾服は隻眼であることを差し引いても非常に人目を惹いていた。
 一方近藤は、身動ぎすると時折ぶちぶち毛が千切れ抜け、敏感な箇所の痛みは一向に治まらず、気がつくと勃っていた。言い訳しようもないフル勃起を、ピタリとタイトなズボンは勿論隠してくれない。
 切羽詰まって女性に囲まれ社交辞令を交わす高杉に躙り寄り、その肩をガシッと掴んだ。女が数人小さく悲鳴を上げたのも構わず、高杉の耳元に顔を寄せる。
「も…無理。助けて、高杉」
 高杉は近藤を振り向いて見上げ、自分の背に当たる股間に視線を流し、ふっと口角を吊り上げた。
「なんでェ、情けねェ」
 どこか面白がっているような高杉に反駁する余裕もなく、涙目で肩に縋り、苦しい息を吐いた。
 高杉は暫く動かずにいたが、不意に近藤の二の腕を掴み踵を返す。
「連れが体調を崩したようで…すまねェな、嬢さん方。またの機会に」
 揃いの衣装から近藤と高杉の関係はあからさまであったせいか、残念そうに解放された高杉は近藤を引き摺るようにして控え室に戻る。
「時代の変わったせっかくの晴れ舞台によォ…てめェは本当に仕方のねェ野郎だぜ」
 控え室の戸を閉め、二人きりになった瞬間高杉はズボンの上からこんどうを鷲掴み、背伸びして顔を近付けうっそり笑う。彼に握られるとチャックに挟まれながらも何とか繋がっていた毛がぶちぶち抜けるのがわかった。
「ちょっ…痛い、からァ…」
 だがその痛みにますます硬く反り返る雄を彼の手に捕らわれていてはもはや何を誤魔化せるはずもない。
 涙目で見下ろした高杉は、楽しそうに笑っていた。
 こんどうの前に片膝をついた彼が、燕尾服の尻尾を床につけてじりじりとチャックを下ろしていく。
 解放感と、倒錯的な光景、壁を数枚挟んだ向こうでまだ続くパーティを思うと眩暈がした。


2019.7.15.永


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