GROWTH
近藤と山崎(山近、R18、学パロ)
 近頃、風紀委員長にあるまじきことになっている気がする。
 もちろん風紀を語るからには制服を着崩すことなどなく指定の鞄を使い、ピアス穴を開けるなど言語道断、愛しい彼女に熱視線を送ることはあっても授業もイベントもサボらずとりあえずその場にはいる。友達も少なくはなく、挨拶もキチンとできる。
 だが、男の恋人ができてしまってから、近藤はちょっとおかしい。学校内でキスしたり、それどころかもっと先までヤってしまったり…いけないとは思うのに、小柄で半年ばかり年下の恋人をうまく拒めない。
「っ…ん──」
「声、出てますよ…みんなにバレちゃいますね」
「っ、は…や、だって…ザキ…っ!」
「いいですよ…もっと鳴いて。アンタが俺のモンだってみんなに教えてあげましょ」
 修学旅行は、とても楽しかった。多分に恣意的に同じ班になった山崎と共に巡る観光地は、勿論他のメンバーもいるとはいえデートのように楽しく、ついはしゃいでしまった。地元の食事も日本国内とはいえやはり普段の味付けと違い物珍しい。ふとした拍子に手が触れ合ってドキドキしたり、土産物屋でさり気なくペアのものを自分達用に選んだり──そんな健全な楽しみは、しかし夜になるともっと先まで一挙に発展してしまった。
 男女を階で分けて五、六人ずつ一部屋に押し込んで、ぎゅうぎゅうに布団を敷いてみんなで横になる。明かりを落としてからも普段できない話をしたり、見回りに来た先生から隠れて布団に潜ってみたり…楽しい時間を過ごすうちに、一人、また一人と眠ってしまったらしく静かになっていく。そうして近藤もウトウトと微睡みかけたとき、隣の山崎が近藤の布団に入ってきて、そして今に至る。
 枕を二つぎゅっと寄せて体をくっつけ、無遠慮にこんどうを煽られる。止めなければ、と思うのに山崎に触れられるのが嬉しくて拒めない。みんなの寝息と誰かの鼾に重なって、山崎の手元からくちゅ、と濡れた音が響くのがいやに大きく聞こえる。近藤が自分の唇を掌で塞ぎ、せめて声だけでも出さぬように尽力するのを山崎は面白そうに笑う。
「俺は、バレたっていいんですよ」
 近藤は、良くないはずだった。百歩譲って二人の関係ならバレたって構わない。でも、ヤっている姿を気取られるのは嫌だった。しかし、慣れた恋人の手に触れられてしまうとそんな簡単なことさえうまく言えなくなってしまう。
 だから、近藤は自分の唇を掌でぎゅっと押さえ、頭まで掛け布団を引き上げた。そうすることで布団にすっかり埋まった山崎が近藤の浴衣の胸元を割り、小さな尖りに吸い付いた。
「ッ…!!」
 そうする間も濡れた微かな音は絶え間なく聞こえていて、居たたまれないのにとても興奮する。大きく胸を喘がせ、内腿に力を入れ、迸りそうなものを堪える。腹筋が小さく痙攣し、もどかしく足先がシーツを掻き乱した。
「我慢しねーでいいのに…あァ、そっか」
 山崎は楽しそうに笑い、不意にもっと深く布団へ潜る。意図を理解する前にこんどうを温かいものに包まれて、否も応もなく山崎の口内へ放ってしまった。
 近藤は乱れた息を吐き、欲に濡れた瞳で辺りを窺う。雑魚寝している連中の鼾は止み、しかし誰も動く様子はなかった。


2019.1.5.永


あきゅろす。
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