GROWTH
近藤と山崎(山近、R18)
 局長は可愛らしい。図体ばかり大きいけれど、些細な言葉のひとつひとつに大きく反応し、少し揶揄ってやるとすぐに大騒ぎする。
「見せてください、局長の一番汚い所」
「き…たないってそんな」
「綺麗なんですか?」
「いや、綺麗じゃないが…綺麗じゃないけど!」
「間違ってないじゃねーですか」
「ザキのバカァァァアアア!」
 だがまァ、年齢の割に若干…いや、かなり夢見がちな彼に、これは言い過ぎてしまったかな、と流石に反省した。
 体を重ねるのは三度目。実はとても楽しみにしていた。年甲斐もなく、休みを合わせたその前日からそわそわと浮き足立ってしまうほどに、本当に楽しみにしていたのだ。だが、だからこそつい可愛い男を揶揄い過ぎてしまい、今は目の前に芋虫のように布団にくるまって背を向けてしまった近藤がいるなんてことになっているのは笑えない。
「近藤さーん…もう出てきてくださいよ、俺が言い過ぎました」
「ザキはずーっと俺のこと、汚いって思ってたんだ」
「そんなわけないでしょ、それなら舐めたり突っ込んだりできませんって」
 肩を竦め、殊更に呆れたように吐く、とぴくっと布団の塊が動いた。
「──ザキのバカ」
 ややあって漏れた声は、先程までと比べると随分と力無いものだった。
「ね、局長。触ってもいいですか」
 布団越しに背中であろう、丸く膨らんだところをぽんぽん叩く。拗ねた声が返ってきた。
「もう触ってるじゃんかァ」
「直接、ですよ。ね、いいでしょ?」
「──うん」
 微かな返事があるとすぐに、布団を剥いで隣へ滑り込む。
 逞しい胸元に擦りよってぎゅっと抱き付く。髭がちくちく頭を刺した。
「ザキ…」
 おずおずと近藤の手も山崎の背に回される。顎を上げ、喉元へ唇を触れさせた。
「っ…俺、もっかい風呂入ってくる」
 だが、唇の温度に焦ったように体を離そうとする動きに抗って喉仏をぺろりと舐めた。
「いいですよ、そのままで」
「だって、汚いからァ…」
「もー…本気じゃねェって、わかってくださいよ」
 着物の前身頃から手を差し入れ、腰回りに沿って素肌を辿る。少しばかり腰を逃がそうとする動きを追いかけ、仰向けになった近藤の足の間に身を割り込ませた。
「ね、局長…俺、アンタとしたいです」
 眉根を下げて彼の瞳を真っ直ぐ捉え、甘えるように腰を抱き胸と腹を重ね合わせる。腿に触れたこんどうは、たしかにときめいていた。
「そ、りゃ…俺だって、したいけど…」
「ならいいでしょ」
 近藤の瞳が惑うように揺れる。稍あってふいと顔を背け、彼は小さく顎を引いた。


「っあ──」
 大きく足を開きやまざきをその体内に受け入れて近藤は陶然と甘い声を漏らした。
 どんなに揶揄ってみたところで、生で自身を挿入してしまえる時点で、さっきの言葉が冗談だと伝わると信じていた。つい悪ノリが行き過ぎただけなのだと。
「きょくちょー…」
「ん…ザキ…」
 名前を呼び合うだけでこんなに胸高鳴る。
 体を繋げたまま唇を重ねるのは、体格差のせいで正常位では些か辛い。思いのままにいかぬ身を持て余し、濡れた視線を絡ませ合う。
「すげェ、好きですよ」
「うん…俺も」


2018.11.4.永


あきゅろす。
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