GROWTH
沖田と高杉(沖高、雰囲気リバ、R18)
 サディストだかなんだか知らないが、言葉責めと言葉の暴力は紙一重で、余程気遣える者でもなければ、露悪的なものを表出している限り、一度や二度はその境を踏み越えてしまうことくらいあると思う。たまたま、そこに行き合った‘被害者’が、屈辱に泣き濡れるような殊勝な性格や、肉体的に圧倒的な力量差があるということでもなければ、その失敗は大きなしっぺ返しとして返ってくるだろう。
 だが、それは若い者にはむしろ必要な経験のひとつではないだろうか。
 高杉は、己の下で悔しげに睨み上げてくる大きな瞳に右瞳の焦点を合わせ、唇の端を吊り上げる。いつも彼に体を開いていたのは、彼を好いていたからでもあるし、自らの性癖に合うということもある。決して不満ではなかった。とはいえ、こんなケツの青いガキに童貞呼ばわりをされて黙っていられるほど大人でもなかった。喩え他者がみたら些細なことでしかないと斬り捨てるような内容であったとしても。
 ことの発端は、いつものようにまぐわいに及ばんとする最中であった。高杉を背後から抱き込んだ沖田が、笑みを孕んだ声で言ったのだ。
「アンタのコレ、飾りなんだろィ?」
「違、ェ…」
 反射のように反駁したものの、先端を掌のマメで撫でられ、腰が震えた。
「何が違うんでィ、突っ込んだこともねェくせに…」
 硬い爪の感触に、息を飲む。焦らすように一拍置いたのち、爪先が尿道口を浅く抉った。
「あァ、ココ」
「…い、っあ…!」
 たまらず溢れ出した白い奔流が彼の指に散る。
「弄られて、よがって。俺を楽しませるためについてんだねィ」
「っざけんな…ッ!」
 だが、いくら結果的にそうであろうとも、そこまで言わせてしまっては高杉とて男が廃る。まだ若い沖田には、矜持のある男を言葉責める匙加減がわかっていない。そういう、ケツの青いガキが大人になるためには、一度くらい痛い目をみなければならないのだ。
 高杉は達したばかりで気怠い体を気力で動かし、自身に絡む沖田の手を払う。乱れた息を奥歯で抑え、上体を捻って彼の肩に手をかけた。沖田が軽く瞳を見開く。一呼吸の間に、体勢を入れ替え上になった。
「知らねェってェなら、チンコの正しい使い方、教えてやらァ──」
 名残に大きく胸を喘がせ、瞬きで欲に潤む視界をクリアにする。彼の着物の胸元から片手を差し入れた。
 しかし、やはりと言うべきか沖田はそのくらいで挫けたりはしなかった。にんまりと口角を吊り上げ、あつい掌が高杉の腰を乱暴に逆撫でる。
「へェ…? やれるもんならやってみな、すぐにそんなナメた口利けなくしてやるぜィ」
「──は、ほざいてなァ」
 期待に熱をもつ体を宥め、彼の唇に浅く歯を立てる。胸の飾りに爪先を立てると、沖田の息が確かに震えた。気を良くして腰の中心に座り、その体重で圧迫する。脈打つ熱を受け入れたときを否応なく想起して、小さく喉が鳴った。しかし、今日ばかりは最後まで彼を下にしてやるのだ。きっと彼の鳴き声も、この上なく高杉を高揚させてくれるに違いない。


2017.1.1.永


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