GROWTH
沖田と高杉(沖高、R18)
 小生意気な若い男というのは、苛めがいがある。本人にその自覚はおそらくないのだろうが、それは確かだ。普段は手綱を取らせてやって調子に乗らせておき、たまに力関係を教えてやるのもいい。つまり、普段あれだけ傍若無人に振る舞えているのは、己が強いからではなく高杉が許してやっているからだ──と。
「さァてお坊っちゃん、この上なく愛でてやるから覚悟しなァ」
「てめ──後で、覚えてやがれ…ッ…」
「あ? 聞こえねーな。芋たァ雖も侍気取るってェなら、些細な恨みに宵を越させるべきじゃあるめェ」
 と、いうわけで、別段逢瀬の約束を交わしていたわけではないが、街をふらついていたらサボっていた年下の男と目が合って、ムラッときた勢いで制服なのも構わずかっ攫い、手首を結わえて爪先立ちがぎりぎりできる程度に吊り上げて。憮然とした沖田のまだ柔らかな頬を掌に包み緩く撫でながら唇に弧を描いた。
 力で適わなかった沖田の悔しげな態度が堪らない。帰してやったらきっと、一層剣技に励むのだろう、可愛らしい。ドSを気取って、軽いSMプレイを楽しんでもいたようだが、自分がMをやったことはおそらくあるまい。SもMも極めたら同化するとは聞くが、この少年がそこまで極めているとは思えない。ならばこの機会にMの初体験でもさせてやろうか──
 高杉は沖田の顎に触れ、懸命に強がってはいるものの少し震えの走る体を視線で舐めおろし、無表情を装いきれていない怯えを孕んだ大きな瞳に目を戻した。
 ──もっと泣かせるのも悪くはないが、このくらいで躾には充分だと感じてしまう程度に己のSっ気のなさを痛感しただけだった。だが、まァせっかく吊るしたのに何もしないというのもつまらない。せっかくなので足元に膝をつき、隊服のベルトに手をかけた。
 その気になれば爪先立ちで踏ん張れなくとも、少々暴れることくらいできるだろう。
 腿を片手で押さえ、まだ縮こまったままのおきたを引っ張り出した。これが項垂れている姿など初めて見て、やはりこれは可愛らしいと実感する。うすうす察してはいたが、、こうしてしおたれている姿はやっぱり少し小振りで、あんまり可愛いものだから芯を持たせるようにゆるゆると揉み込んだ。
 ふと視線を感じ目を上げると、沖田が瞳孔をかっと開いて高杉をじっと見下ろしていた。
「…咥えてくれるんじゃねーのかィ?」
「それじゃァ褒美になっちまいそうだぜ」
 くくっ、と喉を鳴らして片手をおきたに添えたまま、そっと自分の衿元を開く。ちらりと色付く尖りが沖田の視界を過ぎり、手の中のものがぴくりと反応した。
「こりゃァそこまでする必要もなさそうじゃねーかい。ほら、もう大きくなってきたぜェ」
 悔しげに奥歯を噛み睨み据えてくるのにも、さっきまでとは異なる色が混ざっている。どうしようもなく期待しているくせに動きのほとんどを封じられているから、もどかしそうに爪先が地面を掻いた。
 高杉は視線を合わせたまま見せつけるようにゆっくりと舌先で下唇を舐る。そして、薄く開いた唇で、堪らぬように気の逸るおきたの先端に接吻した。絶え間なくとろとろ漏れ出す蜜で濡れるそこを舌先で掻き乱し、弾む沖田の呼吸が空気を揺さぶるのを楽しむ。だが達することはできないように幹の中程に指を絡めて締め上げ小さく笑った。
 いつ陥落するか楽しみで仕方ない。


2021.6.4.永


あきゅろす。
無料HPエムペ!