GROWTH
総子と]子(沖土、女体化、R18)
 江戸の住民の大半の性別が入れ替わった。だがこれはただ単に生殖器が変化するというだけでは決してない。近藤なんて面影がほとんどないし、それに男だった女の大半は髪も一気に伸びている。性別によるスタイルの違いを強制されているようで、だったら桂などはどうなったのだろうと長い艶やかな髪を靡かせて走る指名手配犯の姿を探してみたくもなるが、彼は今は江戸にいないのかまるでみかけない。マン選組として追い掛ける相手がいないものだから、身近な土方の腹を鷲掴む。
「ちょ、オイ痛ェ痛ェ痛ェ! なんかセルライト的なモンがフィーバーすっから!」
「フィーバーさせなせェ、そんでちったァ痩せなせェ、このデブ」
 土方もまた、大きく外見が変わってしまった部類だが、彼の場合は面影はある。ただ、体型が残念になっただけだ。それはまあ、よく考えたら当然なのかもしれない。毎日毎日カロリーお化けのようなものを摂取していて、そして女では基礎筋肉量が男より少なくなった分消費仕切れぬカロリーを溜め込んでしまうのだろうから。
 その脂肪の塊は、まァ乳も脂肪の塊であることを考えるとこれもやはり必然かもしれないが存外にさわり心地が良かった。つい夢中になって元男の握力で腹をぎゅうぎゅう揉んでやる。
 腹は表面は乳より少し固いくらいなのに、揉めば揉むほど柔らかくなるようで止められなくなった。
「っ…の、野郎──」
 腹とはいえ人体の一部を押さえられている土方は容易く抗えないらしい、いやむしろ三つ編みを編んでいる最中に襲ったからかもしれないが、口ではごちゃごちゃ言うくせに沖田を本気で振り払いもしないものだから調子に乗って、背後からぎゅっと抱き付いて柔らかいマシュマロのような彼女を抱き──
 ふと、唇を重ねた。
 マン選組でも特にいい女から遠い土方は朝一番に化粧をしているわけでもなく、だからこそ変にべたついていない唇は柔らかく心地よかった。土方だって痩せたらきつめの美女になるだろうに、体型が残念過ぎるので服部くらいにしかモテない。だが、振り返る者もすっかり少なくなったこの女を、かぶき町の新しいS女王のモノにしてやるのも悪くはない。何しろ男のときからコイツは沖田のものだったのだ。
「ん…バカ、総──」
「いいでしょ、土方さん。女同士の良さも教えてやりまさァ」
 ひく、と白いふわふわの頬が引きつる。
 これは、きっと、アレだ。妬いている。沖田が、女の体になってから、どこかの女とヤったのだと思っている。そんな知識、鞭を売って体は売らない風俗嬢ならいくらでも聞きかじる機会があるのだと気付いてもいいだろうに。
「──まだ、実践したこたァないんでねィ。ちょっと試させてくだせェ」
 硬くなった体を解そうと、裏切られた悲しみに傷付く表情を眺める楽しみはすぐに諦めた。そう言った瞬間緊張が解けたのか、土方の腹部は指が吸い込まれそうにもっちりと柔らかくなって、脂肪ってものはただ体を重く動きにくくするだけのものではないと実感した。
 腹でこれなら、とはちきれそうなベストのボタンを外し、ぷるんと溢れ出した胸を鷲掴む。もっちりふわふわとしていて、赤子でもないのに喉が鳴った。
「──吸ってもいいですかィ」
「っ…な──?」
 返事を聞く前に柘榴色した乳暈を口に含む。土方のもちもちのほっぺたが声もなく真っ赤になった。


2021.5.13.永


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