SILVER
4(R18)
 熱が体内に深々と押し込まれ、土方は上擦る呼気を零す。どうしようもないときめきに視界までも霞んだ。
 これが、ほしかったのだと理屈でない愛しさが込み上げる。
 と、濡れた音に紛れふと物音がした気がして、反射的に潤む目を向けた。腰を抜かしたらしい山崎が這うようにして逃げていくのに片目を眇め、首を傾けて沖田に唇を押し付ける。
「今──」
 彼も気付いていたらしい、何事か言いかけて開かれた口内へ舌を滑り込ませる。痛いくらいに吸い上げられ、硬い歯が緩く食い込んだ。ぞくぞくと背筋が痺れる。
 乱暴に揺さぶられ、彼の隊服へ爪を立てる。透明な液が沖田のベストに糸を引いた。
「は…」
 互いの狭間で熱い呼気がぶつかり合う。目を閉じるとちらちらとした光が視界に踊るようだ。
 大きく胸を喘がせ、そんなはずもないのに仄甘く感じられる彼の唾液に夢中になって吸い付いた。
 いっぱいに開いた下肢から這い上がるときめきが脊髄に絡み思考へ食い込み桃色に蕩けさせる。腹部を覆う素っ気ない衣服に擦られる、ひじかたから伝わる痺れと相俟って喉が鳴った。
「ひじかた、さ──」
 幼い頃から知っている少年が男の欲を滲ませ土方の前髪をかきあげる。
 こんな彼は、自分しか知らない──彼を女手ひとつで育てあげたミツバも、彼が懐いている近藤もだ。そう思うと、欲情に煽られる体に翻弄された心がちりりと微かに痛んだ。
「何、考えてんでィ…?」
 荒く乱れた息に紛れ、濡れた瞳が顰められる。土方は彼の耳元に擦りよった。
「てめェのこと、に決まってるだろ…」
「なら──」
 ぎりぎりまで引き抜かれる。腹筋が痙攣した。
「っ、あ…──」
「イい声でも出してなァ…」
 殊更に揶揄を孕んだ言葉に反発する余裕もなく、断続的に内部を締め上げる。舌がもつれ、意味のない音が零れた。
 眉根を寄せ艶っぽい息を漏らす薄桃色した沖田の唇を夢中で貪った。


2014.7.8.永


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あきゅろす。
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