SILVER
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「てめェもグルなんだろィ」
 パーティションで区切られた、心なしかプライバシーの保たれた喫茶店へ少年を連れ込み、単刀直入に斬り込むと、彼は年齢に似合わぬ大人びた表情でにがわらった。
「僕達は、無関係だよ。信じてもらえないだろうけど」
「あの店のオーナーはてめェのママだろィ」
「それは、そうなんだけどね」
 そう言って少年は、沖田が奢ってやったオレンジジュースを一口含む。
「まァ…ヅラ子さんは、誰かを傷付けるような考えは持ってない人だから」
 どこか達観したように言い切るまだ幼い少年を冷えた目で見やり、沖田は唇の端を持ち上げる。
「キズにゃァな、お子様にはわからねェ種類のモンもあるんでィ」
「そっち? それも大丈夫だよ。僕にはわかる」
「俺にゃァわからねェ」
 まだ子供のくせに、同年代の子供とはどこか違う──腹立たしいことに、眼前の彼が幼い自分とかぶった。それがきにくわず口を噤んだ沖田をどう思ったか、彼はそっと肩をすくめた。
「心配しなくてもすぐに帰ってくるよ、お兄さんの待ってる人は」


2014.5.5.永


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あきゅろす。
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