SILVER
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「沖田隊長!?」
 とっぷりと日が暮れてからようやく帰還した沖田を見るなり、門番の隊士が目を剥いた。そんなに酷い有り様だろうか、と他人事のように思う。
 腐っても攘夷党の桂、一筋縄ではいかずあちこちに斬撃を受けたものの、彼にも同等──はいかずとも傷を負わせてきたというのに。
「大丈夫ですか?」
 門番の彼が大騒ぎしたせいで、玄関口で近藤と救急箱に出迎えられる羽目になった。片肌脱いで腕に巻かれていく包帯を一瞥する。
「近藤さん、ザキは帰ってますかィ?」
「へ?」
 虚を衝かれたか近藤の瞳が見開かれた。
「そういえばトシが探してたな…まだ帰って来んみたいだな」
 アイツもたまには羽目外したいんだろう、と笑った近藤の声も耳に入らず、局長の指示で手当てに励む隊士の手を振り払い立ち上がった。
「土方は?」
「トシか? 副長室にいると思うぞ」
 近藤の言葉を皆まで聞かず奥へ駆け込む。まだ固定されていなかった包帯が二の腕に纏わり付いた。


2014.3.15.永


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