SILVER
3
「っ…ぷはァ…」
屯所へ土方宛でそんな奇妙なモノを送りつけてくる太い野郎を確かめるため──山崎が犠牲になった。
真っピンクの…例えるならば苺牛乳のような水中はまるで視界が利かぬらしく、小包は中々見つからない。
「ふくちょー…コレ、ホントに害がねーんですか? 俺ァなんだか眩暈がしてきたんですが…」
「金魚は元気そうだし大丈夫だろう。心配しねェでも骨は拾ってやらァ」
池の縁に顎を乗せ、ぐちぐちぼやいた山崎は、友人を気遣う原田の声を振り切って、土方の苛立ちから逃れるようにまた池に潜った。
数時間して、すっかり真っピンクに染まり地味さの欠片もなくなってアイデンティティを見失った男は、やっぱり真っピンクの小包を池の中から拾い上げた。ぐずぐずに歪んだそれは即座に鑑識へまわされる。
池の水が思いもかけない副作用を引き起こすのは、その日の夕刻のことである。
2013.9.3.永
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