SILVER
蛍光色のワガママ
 エベレストより高いと自負する沖田のプライドをねじ曲げて土方に告白すると、彼はほんのり頬を染め小さく頷いた。
 しかし、土方への殺意はいくらでも露にできるのに、そういう方面になるとまるでダメで。むしろ身体的接触は頷いてもらう前より減った気すらする。
 ──そんな、もどかしい日々。彼との接吻を、よりによって桂に先んじられてしまった。こんなにバカらしい話がほかにあるだろうか。
 そのあと勢いで唇を重ねたはいいものの、怒りの余りその感触はほとんど記憶に残っていない。
 そして。
 不本意ながらも桂のそれに塗り重ね打ち消す形にしかならなかったファースト・キスだけでは、終わらなかったのである。


2013.8.8.永


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