SILVER
9(R18、暴力的)
スカーフと首の狭間に指先を捩じ込み、そっとひく。柔らかな布は音もなくはらりと解けた。
「こんなあんたじゃムカつくんで、解毒剤をやりやさァ」
喉元に手をかけたまま、そっと瞳を覗き込む。ふわりと笑みを貼り付けた。
「──愛してやすぜ」
きりりと心臓が痛んだ。ぎりりと唇を噛む。
土方の瞳が呆然と見開かれ、すぐに力を取り戻す、と同時に組み敷いた体が暴れ出した。
「っざけ──」
すかさず喉仏に体重をかけ、気管に圧力を加えた。びくびくと跳ねる体を見据え、そっと手を引いた。
薬は醒めたのだろうか、よくわからない。わからないが、ベストのボタンを引き千切った。
ごほごほと咳き込む土方が立ち直る前に、彼のズボンを開く。隙間から掌を差し込んで、反応していないひじかたとその睾丸をまとめて包み込んだ。
「の、やろ…」
「──」
生理的な涙の滲んだ瞳が沖田を睨む、と同時に急所を握り込んだ。手首を掴まれる。そこへさらなる力を加えると、冷たい汗が沖田の手の甲に纏わりついた。きつい双眸に涙の膜を張り、弱々しく足掻いていた手がシーツへ落ちる。
ゆっくりと解放してやった。
詰められた呼吸がぎこちなく空気を震わせる。
ひやりと冷たい頬に軽く触れ、唇を寄せた。かさついた唇は、反応する余力もないように沖田の口付けを受け入れた。歯列をやんわりなぞり、硬張った舌をつつく。力なく躱す舌を絡めとった。
「…ん──」
打って変わってやんわりひじかたを扱いてやる。そこはぎくしゃくと、しかし確かに頭を擡げた。
「よかったですねィ」
「──なにがだ」
色濃い疲労を纏い、開いた瞳孔が沖田を睨み上げた。
「女にゃならねェで済んだようですぜィ」
不機嫌に顔を顰めた男を見下ろし、鳥肌のたった胸元をゆったりなぞる。
素肌が温もりに緩んでいく。
2012.7.2.永
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