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小説
Lesson (ジャクギル)
Lesson

ご注意!
本誌ネタバレを含みます。
ネタバレ勘弁と言う方は、回れ右でお願いいたします!





























「……ん……」

 子供特有の鼻に掛かった甘い声と共にチュッと小さく濡れた音が室内に響く。

「…マスタ…?」

 深く息を吸い込む音と共に舌足らずな甘い声音が自分を呼ぶのに、ジャックは満足そうな笑みを浮かべた。

「大丈夫かい…?ギルバート」

 自分の膝の上に向かい合うように腰を下ろし、居心地悪そうに視線を彷徨わせる可愛い従者の頬に、ジャックはキスの唇を落とす。

「…マスター……」

 顔を朱に染め、どこか困ったような視線を上目遣いで向けられ、ソレこそ困ってしまうのは自分の方だとふざけた事を考えながら、ジャックは安心させるようにギルバートの柔らかな癖毛を指先で梳いていった。
 主からのこうした接触にどうして良いか判らないと言った表情を浮かべることの多いギルバートではあるものの、髪を弄られるのは好きらしく、まるで喉を擽られる猫の如く表情を緩めるギルバートに、ジャックは目を細める。
 本当に可愛くて可愛くてどうしようもない。
 幼い身体で必死になって弟の分まで従者としての仕事をこなそうとするその姿は、いつだって大人の目を細めさせるに十分なものだ。
 ブルネットの髪に珍しい金の双眸。
 以前は十分な手入れを受けていたようにも見える肢体と立ち居振る舞いは、彼がどんな生活を送っていたか察するに余りある。
 ジャックが彼を弟と共に拾った時には考えもしなかったが、彼等が生きる為にどれほどの辛酸を舐めてきたかを思うと、胸が痛まない訳がない。だからこそ、自分の元で辛い思いをさせたくないと思いながらも、ある意味こんな事を強要しているなど本末転倒と言うものだろう。

「…舌を、出してごらん……?」

 すっかり目を閉じてしまっているギルバートの耳を指先で擽りながらジャックが囁きを落とせば、弾かれたように金の瞳が開かれた。
 自分の言葉にキョトンとした表情で見つめるてくる従者の姿に、ジャックは穏やかな笑みを浮かべると赤く色づいたギルバートの唇に、己の指先を這わせる。

「舌を、出せるかな……?」
「…は…い…」

 子供特有の弾力ある唇の感触を楽しんだジャックの指先が離れると同時に、おずおずとギルバートの小さな舌が伸ばされた。
 無意識だろう再び固く目蓋を閉じてしまった己の従者の姿にジャックは破顔すると、全身に力が入ってしまっているギルバートを安心させるように、再度柔らかな癖毛へと指を絡めながら己へと差し出された舌に自分のソレを触れさせる。

「……っ!?」

 瞬間、ビクリと全身を震わせ身体を後退させようとする細い腰を片手で阻み、ジャックは逃れようとする小さな舌を唇で喰んだ。
 ビクビクと自分の腕の中で震える幼い身体が哀れでもあり愛しくもある。
 自分の口内へと引き入れた小さな舌先を己のソレに絡め吸い上げれば、震える指先がジャックのシャツを掴んでいた。

「んっ……っっ」

 息苦しさからだろう鼻を鳴らす幼子にジャックは目を細める。
 必死になって自分に応えようとする姿に僅かに胸が痛むものの、それでもジャックはギルバートを解放する気等全くなかった。
 嫌ならば自分を殴ってでも逃げれば良いと思うのだが、そんな選択肢がギルバートの中にはないことなどジャックが一番良く知っている。

 クチュリ

 窓から明るい陽の光が注ぐ室内に響く水音は、背徳的で酷く淫靡だ。
 ギルバートの髪を弄っていたジャックの手がその細い首筋へと動かされ、より深く互いの唇が重ね合わされる。

「ん……っく……」

 飲み下せなくなったどちらの物かも判らない唾液が、僅かに上げられたギルバートの喉を鳴らせることとなっていた。
 ソレを確認し、ジャックが口角を引き上げた瞬間、

「……本当に、悪趣味だな……」

 耳慣れた声音がジャックの耳元へと届く。
 ソレを合図に、ジャックは漸く幼い唇を解放した。

「…やあ、グレン。ノックもなしに君こそ悪趣味なんじゃないかな……?」

 酸素を求め喘ぐように呼吸を繰り返す幼い身体を抱き寄せながら、いつの間にか開かれたドアに背を凭れかけさせて自分へと呆れた眼差しを向ける親友の姿に、ジャックはにっこりと微笑む。

「ノックはしたぞ。返事はなかったがな……」

 お前の在室は執事から聞いていた、と淡々と言葉を紡ぐグレンにジャックは苦笑を浮かべると、大分呼吸の整ってきたギルバートの額へとキスの唇を落とした。

「…マス…タ……?」
「大丈夫かい…?ギルバート」

 焦点の甘い視線が自分へと向けられるのに、ジャックは再びその唇を塞いでしまいたい衝動を押さえ込みながら、自分の膝からギルバートを降ろす。
 瞬間、崩れるギルバートの膝にジャックは慌ててその華奢な身体を抱き留めた。

「…すみませ……っっ!?」

 主に抱き留められ、その肩先に鼻先を埋めたところで視界に主のゲストの姿を認め、ギルバートは慌てて主の腕の中から逃れようと身動ぐ。

「マ…マスター……グレン様が……」

 先刻まで大人しく自分の腕の中に収まっていた己の従者が急に暴れ出したのに、不思議に思ったジャックだったがその小さな唇からこぼれた親友の名に、ジャックはあぁと納得したように小さく微笑んだ。

「…そうだったね。ギルバート、美味しい紅茶を私と彼に淹れてくれるかな……?疲れているようならば、誰かに任せても良いからね」
「すぐに」

 主の大きな掌が自分の腰から離れると同時にギルバートはその腕の中から逃れると、主とそのゲストに向かって深く頭を下げ、半ば駆けるように部屋を後にする。

「……全く、あんな幼い者に一体何を考えている……」

 やれやれと言わんばかりに親友の向かいのソファに腰を下ろし、グレンは深い溜息を吐いた。

「何?グレンもして欲しかった?」

 親友の諫めを含んだ言葉など何処吹く風でジャックは楽しげな笑みを浮かべると、そのまま腰を上げる。

「ふざけるな……全く、こんな奴に見初められて哀れとしか言いようがないな」
「珍しいね、君が他者を気にするなんて。……でも、あの子は私のモノだから……」

 呆れた表情を隠すことない己に対して笑みを浮かべてみせるジャックの目が全く笑っていないことに気づき、グレンは処置なしとばかりに親友から視線を逸らすと、心の底から彼の幼い従者に同情した。


FIN

******
以上、変態ジャックさんでした。
予想以上に変態さんになった気がする。グレンさんは常識人と言うことで…(え?)
つか、このネタ考えた後に、本誌でグレンとギルのお話読んで、グラリなんですけど…
ブレイクでの調教(?)も似た感じになりそうですが、
完全に本番入るからなぁ…(だから、どうした)



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