失格者
11
「声、我慢すんな」
そう言ってトウジは体中にキスを落とすが、やはり躊躇ってしまう。
鼻にかかったような声が、まるで自分のものではないようで恥ずかしいのだ。
ちう、と乳首を吸われ、思わず肩を揺らした。
翻弄されている、と自分でも思う。
しかし、どうにもならないほど感じてしまうのだ。
僕のベルトをトウジは片手であっさりと外すと、そのままチャックを下げた。
体をふわりと持ち上げられ、その隙に一気にズボンを下ろされた。
「悠、可愛いよ……悠」
いつになく甘いトウジの声に、胸が疼く。
しかし背中から滑るように降りてきた手に尻を柔らかく揉まれ、ギクリとする。
やはり、痛いのだろうか。
笹山のあの痛々しい姿が思い起こされる。
血と男の精液が潤滑油のようになっていたのを思い出し、体が一気に強張るのを感じた。
「あ……ト、トウジ……！」
僕は思わず彼にしがみ付いた。
怖い。
やはり、怖いと感じてしまう。
痛いのだろうか。
辛いのだろうか。
「……悠、大丈夫」
大丈夫。
そう呟いて、トウジは僕の体をぎゅ、と抱きしめた。
服越しのトウジの心音がトクントクンと微かに伝わってくる。
人間の鼓動には癒しの力があると昔聞いたことがあるが、それは本当だったのかもしれない。
僕はトウジの首筋に顔を埋めて小さく囁いた。
「……ありがとう」
その返事とばかりに、トウジはちゅ、と僕の鼻先にキスを落とした。
痛くても辛くてももう大丈夫だ。
彼から与えられるものは、快楽も痛みも全てが今ここに生きている現実と繋がる。
下着がそっと下ろされ、ペニスが露わになる。
半分勃ち上がり始めているソレをトウジはゆっくりと握りしめ、上下に擦り上げ始める。
トウジの親指がまだ柔らかな陰毛を軽くかき混ぜる。
その感覚にすら、腰が疼いた。
カサの部分を軽く扱かれ、勃起しきったペニスからは透明な先走りが溢れだした。
それを軽く指先で拭われるが、とろりとしたそれは抑えきれずにペニスを伝って根元まで辿り着く。
「……あっ、ああ、んんぁあ！」
トウジの服にしがみ付き快感をやり過ごそうと思うが、勿論そんな事が出来るわけもなく、僕は呆気無く果てた。
彼の服に飛び散った精液を見ながら、僕は肩で息をする。
トウジの手は未だ僕のペニスを弄っている。
鈴口を転がすように手で揉まれ、僕自身はまた徐々に硬度を増していく。
「やっぱり可愛いよ、悠。今お前どんな顔してるか分かるか」
「……阿呆、みたいな、顔……？」
そう途切れ途切れに言うと、トウジは噴き出す様に笑った。
そうしている間も彼の手は僕の体のあちこちを撫でまわしている。
背中を。
太腿を。
そして尻を。
左右に押し広げるように掌全体で揉まれ、思わず声をあげる。
「あんっ」
「……エロい顔、」
かあっと頬が熱くなるのを感じた。
浅ましい表情でもしていたのだろうか。
恥ずかしい。
「悠、体勢変えるぞ」
そう言ってトウジは僕の体をひょいと持ち上げると、反転させた。
ソファにうつ伏せるようにして、尻だけ高く持ち上げられる。
トウジの顔がすぐ傍にあるのだろう、息が尻にかかる。
「ト、ウジ、そんな、見ないで」
「大丈夫、綺麗だよ……本当に」
「や、やだ、こんな……ひ、」
尻になにか熱いものを感じた。
トウジの両手が尻を左右に開き、熱い何かがれろりと穴を這う。
―――舌だ。
そう思った瞬間、あまりの恥ずかしさに泣きそうになった。
ちろちろと穴の周りを舐められ、時にぬるりと舌を差し込まれる。
尻の穴がひくひくと動いているのが自分でもわかった。
ぐるりと円を描く様に襞を舐められ、気が狂いそうになる。
ソファに顔を埋めながら、必死にその感覚に耐えていると、トウジの掌がゆっくりと穴へと近づいてくるのを感じた。
中指がぐぷ、と押し込まれる。
猛烈な痛みを予想していたが、そこまででは無い。
むしろ引き攣れるような違和感こそあれど、指はすんなりと入っていった。
二本目が差し込まれ、その太さに圧迫感を感じた。
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