・Episode - 5 途中
55:名無しさん
07/30(木) 20:25 oXRN/DqVO
・Episode - 5
(,,゚Д゚)「モララー……モララー!」
モララーは動かない。
ギコがいくら大きな声で名前を呼んでも、いくら体を揺すっても、動かない。
横たわるモララーをぼーっと見つめながら、ギコの心の中で何かが煮えたぎっていた。
――――本当に、殺すなんて。
人を殺して、何故あんなに冷静でいられるのか。
彼はZECTに従わなかっただけなのに……怒りがふつふつと沸き上がり、両手は自然と拳を作っていた。
ふと顔を上げ周りを確認すれば、クーの姿も渡辺の姿もない。
すると―――。
( -∀・)「………ふぅ」
(,,゚Д゚)「………」
( ・∀・)「死んだふりも楽じゃないな」
死んだと思っていた――思い込んでいたモララーが、ゆっくりと起き上がった。
起き上がったモララーはピンピンしており、口をポカンと開けモララーを見つめるギコを怪しげに見た。
( ・∀・)「なんだお前は」
(,,゚Д゚)「……大丈夫か?」
( ・∀・)「当たり前だ、俺は死なない」
(,,゚Д゚)「………バカヤロウ……」
気が抜けるようにその場に崩れるギコ。モララーが生きていた安心に引き締まっていた気が一気に緩み出した。
立ち上がりモララーに背を向けながら独り言を言いはじめる。
(,,゚Д゚)「まったく、心配かけさせんなよな…」
(,,゚Д゚)「………ZECTって、何なんだ。ワームを倒し人類を守るのが―――」
背後から、ドサッと何かが倒れたような音が聞こえた。
その音に気づき、振り向いてみると―――モララーが倒れていた。
やはり、相当なダメージを負ってしまったようだ。
(,,゚Д゚)「おい…おい!モララー!」
( ∀ )「…………」
――――――――
――――――
――――
57:名無しさん
08/09(日) 19:49 5zDgMZKsO
(,,゚Д゚)「…………」
『はい、天道です』
(,,゚Д゚)「あ、もしもし――」
ギコは今、ニチャン病院にいる。
あの後すぐに救急車を呼び、モララーを病院まで搬送してもらっていたのだ。
モララーの持つ携帯からモララー宅の電話番号を探し、公衆電話でツンにモララーのことで今すぐ病院に来てもらうよう伝えていた。
そして、数分後―――。
ギコは病院の外で待機していると、地面を駆ける足音が重なって聞こえてくる。足音のする方向へ視線を向けると1人の少女と1人の男性が夜の暗闇の中から現れた。
(,,゚Д゚)「モララーの妹さん?」
ξ;゚听)ξ「はい!あの、兄さんは!?」
(;^ω^)「モララーは無事なのかお?」
(,,゚Д゚)「とにかく、こっちに来てください」
ギコはそう言うと病院の自動ドアを通り抜けモララーのいる診察室まで小走りで向かい、2人もその後を追った。
診察室前に到着し、ツンは扉をノックし荒々しく開く。
――だが、その先には呆れ返るような光景が……。
( ・∀・)「かなり深刻なストレスだな……」
「はい…」
( ・∀・)「そのストレスが胃腸を悪くしているんだな」
( ・∀・)「もっと気楽に生きろ」
「………はい」
本来診てくれるはずの女医がモララーに診察されていた。どうも迷惑そうな顔をしている。
ツンは安心したかのように壁に寄り掛かり、ギコは呆れ返ってしまいながらその様子を見ていた。
ふと扉の方へ視線を向けると、ようやく3人の存在に気付くモララー。
( ・∀・)「よう」
軽いノリをした挨拶をしながら3人の下へと近付く。
そんなモララーにギコがすかさず言葉を返した。
(,,゚Д゚)「よう、じゃねーだろ。お前が診てもらうんだよ!」
( ^ω^)「モララー!大丈夫なのかお?」
( ・∀・)「俺ならピンピンしてる、何の問題もない」
( ・∀・)「大体、お前が大袈裟なんだ」
(,,゚Д゚)「何……?」
お節介に感じたモララーはギコを見つめながら悪気なくそう言う。
流石に頭にきたのか、ギコがモララーを睨み返す。
58:名無しさん
08/10(月) 22:25 6svIHggQO
ξ#゚听)ξ「どうしてそういうこと言うの!?」
( ^ω^)「お?」
(;・∀・)「あ、いや…」
そんな失礼なモララーを見兼ねてか、身内であるツンが一歩前に出てモララーを見上げながら叱咤する。
ξ゚听)ξ「助けてくれたのよ?こんな風に心配してくれるの、ギコさんくらいしかいないんだから」
ξ#゚听)ξ「謝りなさい!」
(;・∀・)「あ、あぁ……すまなかった」
(,,゚Д゚)「お、おう…」
ツンの怒りに怯んだモララーは、素直に先程の非礼を詫びる。
自尊心が高く自分中心なモララーでも、ツンにだけは敵わない。ツンは唯一モララーを静めることのできる存在なのだ。
戸惑い気味に返事をしたギコは、あの俺様野郎が人の言うこと聞いてる……、などと思いながらモララーの弱点を見つけた気がしていた。
( ^ω^)「とにかく、今日は病院で過ごした方がいいお」
( ・∀・)「あぁ、そうするよ」
ξ゚听)ξ「また明日来るから、ちゃんと休んでね?」
( ・∀・)「わかった――ギコ、お前今日は俺の家に泊まってけ」
(,,゚Д゚)「は?何だよいきなり」
( ・∀・)「こいつを見張っててくれ」
(;^ω^)「え、どうして?」
ξ゚听)ξ「私からもお願いします、ギコさん」
(,,゚Д゚)「―――成る程、任せろ。じゃあ行こうか」
ξ゚听)ξ「はい。兄さんおやすみ!」
( ・∀・)「あぁ」
(;^ω^)「いやいや!何にもしない……って、ちょっと待ってお!」
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――――――
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60:名無しさん
08/13(木) 23:34 mDYDnEdyO
―――翌日。
港付近に出没したワームをクー率いるシャドウが討伐にかかっていた。
クーの指示を受けフォーメーションを展開しながら、ザビーへと変身し応戦しているクーを援護するシャドウ隊員。
クーの部下であるギコは、ZECTカメラでその様子を遠くから撮影していた。
そこに、シャキンとしぃが乗る指令車が到着した。
指令車から降りた2人はギコのいる場所へと向かい、それに気が付いたギコは軽く頭を下げ再び撮影に集中する。
(_/( \=/)「ふっ!はぁっ!」
残ったワーム3体の体をザビーが一閃の如く素早さでゼクターニードルを突き刺す。
突き刺されたワームは順を追って消滅していった。
消滅と共に巻き起こす爆発後の煙幕の中、ザビーゼクターが宙を舞い空の彼方へと飛び立ち、煙幕の薄れゆく中にクーの姿が現れる。
ワームを掃討し終え、クーはシャドウ隊員を率いてギコ達の下へと近付いてきた。
(`・ω・´)「見事だ、クー」
クーとシャドウ隊員の戦闘ぶりを心から賞賛するシャキン。
それに対し軽く頭を下げるクー。
(*゚ー゚)「カブトは現れませんでしたね…」
川 ゚ -゚)「……ザビーだけでは心細いとでも言うのか?」
(*゚ー゚)「いえ、そういう訳では…」
しぃの発言に不快感を露にするクー。
クーの表情を見ればその様子が見て取れる、しぃは失言をしたかと慌てて誤解を解こうと弁解した。
そして、クーは自信に満ち溢れたようにこう言う。
川 ゚ -゚)「カブトは私が倒した」
(*゚ー゚)「え…!?」
川 ゚ -゚)「所詮、奴はゼクトの敵だ」
(,,゚Д゚)「………」
まさか、"モララーは生きている"だなんて言えるわけがない。
ギコはそんなクーを見つめながら複雑そうな表情を浮かべる。
(`・ω・´)「ご苦労だった」
川 ゚ -゚)「あぁ」
シャキンがクーの肩を叩き、そのまま指令車へと戻っていった。
クーもまた、自身の乗るバイクの下へと向かう。
その途中に、ぽつりと一言口ずさむクー。
川 ゚ -゚)「ライダーは、1人でいい……」
―――――――
―――――
61:名無しさん
08/14(金) 18:54 5YOng/yVO
ワームの討伐を終えたクーは、渡辺とギコを連れニチャン病院に入院しているドクオの部屋へと訪れていた。
しかし、ギコだけは部屋の外で待機している。ZECTではドクオと初対面の為、クーの紹介がない限りは部屋には入れなかった。
そのギコは、この病院にモララーが居ることをクーや渡辺に知られる前に帰らせることを考えていた。
川 ゚ -゚)「今日は紹介したい奴がいるんだ」
('A`)「はい」
川 ゚ -゚)「おい、入れ」
クーの合図と共にギコは扉を開き、部屋の中に入る。
クーの隣へと立ち、ドクオの顔を見つめた。
すると、
(,,゚Д゚)「あ…!」
('A`)「お前…ギコか?」
从'ー'从「何?知り合いなの?」
ギコとドクオ、互いに初対面の反応ではなかった。
2人の反応を見て気にかかった渡辺が、2人の顔を交互に見ながら問い掛ける。
('A`)「はい、幼稚園からの幼なじみなんです。会うのは中学生の時以来で…」
从'ー'从「へぇー、こんな巡り合いもあるんだねぇ」
ギコとドクオは、幼稚園児からの幼なじみだった。
それから小学、中学と一緒だったが、近所だったドクオは家庭の事情で引っ越してしまい進学した高校も別々になった為、連絡もとれない間が続いていたらしいが…。
今、こうやって再会を果たした。
まさか、ZECTに入っているだなんて互いに思いもしなかったようだ。
川 ゚ -゚)「ほう、なら2人で話したいこともあるだろう」
(,,゚Д゚)「いや、そんな…」
川 ゚ -゚)「何、気にするな。ついでに私達は売店にでも行っているさ」
川 ゚ -゚)「行くぞ、渡辺」
从'ー'从「はーい」
クーは手にさげていた見舞いの品をドクオに渡すと、ギコとドクオのみにしようと渡辺を連れて部屋を出て行ってしまう。
クー達がいなくなったことで、2人きりになった部屋。
ギコは椅子に座ると、落ち着いた様子で話し出す。
62:名無しさん
08/22(土) 23:54 HbnpPSLIO
(,,゚Д゚)「久しぶりだな」
('A`)「あぁ、まさかお前がゼクトに入ってたなんて…」
(,,゚Д゚)「それは俺の台詞だ。お前、あの時何でなにも言わずに引っ越したんだ?」
('A`)「………その話はいいだろ、もう長いこと経つし、いろいろ変わったしな」
(,,゚Д゚)「―――まぁ、話したくないならいいけどな」
ギコは、何となく立ち上がり、窓の外に見える風景を眺めながらドクオに尋ねる。
(,,゚Д゚)「ドクオ」
('A`)「ん?」
(,,゚Д゚)「クーさんの言うパーフェクトハーモニーって、具体的には何だ?」
ギコの発言を聞いたドクオの表情は、真剣なものとなった。
ベッドに横になり、天井を見据えながらその質問に答える。
('A`)「―――俺たちシャドウは、スタンドプレーを許さない」
('A`)「仲間同士助け合って、チーム全体のことを考えながら行動する。そうすることで、1の力を2にも3にも…時には10以上にすることができる!」
('A`)「それがシャドウの誇る完全調和――、パーフェクトハーモニーだ」
(,,゚Д゚)「仲間……か、いいな。そういうの好きだよ」
ドクオの力説に完全に心を掴まれたギコ。
表情を綻ばせ、ドクオを見ながら2、3回頷く。
再び椅子に座ると、今度はモララーのことを話し出した。シャドウの一員のドクオならば、カブトが抹殺された話は聞いているはずだ。
(,,゚Д゚)「なぁ、カブト抹殺のこと、どう思う?」
('A`)「俺はシャドウの隊員であり、ゼクトの一員だぞ?」
(,,゚Д゚)「わかってる、それはわかってるんだ」
('A`)「……ゼクトの一員だけど、俺は正直違うと思うんだ」
途端に険しい表情を見せはじめるドクオ。
('A`)「確かにライダーシステムはゼクトの物だと思ってる、資格者でありながら逆らうカブトは許せなかった」
('A`)「けど、抹殺はおかしいと思う。一応カブトもワームを倒してたみたいだし、人に危害を加えるような真似はしてなかったようだし…」
(,,゚Д゚)「だろ?お前もそう思うよな?」
(,,゚Д゚)「実は―――」
と、そこへ売店で買った飲み物が入った袋を片手に下げたクーと渡辺が戻ってくる。
クーが扉を開けようとした時、部屋の中からギコの話し声が聞こえてきた。
「実は――カブト、生きてるんだ」
川 ゚ -゚)「……!」
[*前]
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