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・Episode - 4
43:名無しさん
07/21(火) 10:11 Q6RjYc5aO

・Episode - 4


( ・∀・)「ここで働かせてもらえませんか?」

J( 'ー`)し「え?」

从 ゚∀从「は?」


モララーとハイン親子は、喫茶店の休憩室で椅子に座って向かい合っていた。
突然の申告に拍子抜けする親子。


从 ゚∀从「なんだよ、どうしたんだ急に」

( ・∀・)「良いアイディアがあるんだ」

J( 'ー`)し「アイディア?」

( ・∀・)「はい、まずはこれを――」


そう言うとモララーは袋の中からタッパーを取り出し蓋を開ける。中には麻婆豆腐が入っていた。
タッパーの中身を覗く二人。


J( 'ー`)し「麻婆豆腐…よね?」

( ・∀・)「食べてみてください」


ハインは2人分のスプーンを手に取り母親に1つ渡すと、親子は麻婆豆腐をスプーンですくい口に運ぶ。
すると―――、


J( 'ー`)し「………」

从 ゚∀从「………」

( ・∀・)「………」

从 ゚∀从「……うめぇ」

J( 'ー`)し「美味しい…!」


モララーは勝ち誇ったように、しかしそれが当然のような笑みを浮かべ親子を見つめる。


从*゚∀从「うめぇ……うめぇよ!うますぎるよ!」

J( 'ー`)し「ほんとね……まさか、アイディアってこれを?」

( ・∀・)「いや、これはあくまで腕試しです」

J( 'ー`)し「腕試し?」

( ・∀・)「はい。……こちらで、俺の腕を買ってもらえませんか?」

J( 'ー`)し「うーん……」

从 ゚∀从「うち、喫茶店だぞ?」

( ・∀・)「わかってる。確かキッチンがあったな?」

从 ゚∀从「あぁ、滅多に使わないけど…」

( ・∀・)「キッチンがあるのに、それをもっと活用できないなんて勿体ない」


モララーは椅子から立ち上がりテーブルに手をつき、訴えるように2人を見続ける。


( ・∀・)「料理の出る喫茶店も、ありじゃないですか?」


半ば強引ながらも雇ってほしいと訴え続けるモララー。
その意気にハインの母親は心を打たれたようだ。そしてようやく、


J( 'ー`)し「お願いするわ、モララー君!」


ハインの母親も立ち上がり、モララーの手を握り締める。


( ・∀・)「ありがとうございます、役に立つことを誓いましょう」


今ここに、モララーの新たな就職が決まった。
モララーは早速エプロンを羽織り、調理に必要な器具をキッチンに並べ始める。

44:名無しさん
07/21(火) 10:36 Q6RjYc5aO

(,,゚Д゚)「おはようございます……って」


ギコがいつものように店内に入ると、最早見慣れた男がカウンターの向こうで何かをしているのが見えた。


(,,゚Д゚)「お前何してんだ?」

( ・∀・)「なんだお前か、見ればわかるだろう。料理だ」

(,,゚Д゚)「料理だ、って……あ、お母さん、ハイン。おはようございます」

从 ゚∀从「うぃっすー」

J( 'ー`)し「おはようギコ君、今日からモララー君もここで働くことになったの」

(,,゚Д゚)「えっ!?なんで!」


騒がしいギコの声に、振り向くことなく手を動かしながら口を挟むモララー。


( ・∀・)「俺が居ては不都合でもあるのか?」

(,,゚Д゚)「いや、そういうんじゃないけど……」

( ・∀・)「早速仕事だ。ギコ、お前食材と調味料一通り買ってこい」

(,,゚Д゚)「は?なんで俺が――」

( ・∀・)「バイトの分際で店長の代理に逆らうのか?」

(,,゚Д゚)「店長の代理だぁ?」

J( 'ー`)し「あ、ギコ君―――」


そう、先程モララーはこの店に雇ってもらった時にハインの母親に「休んでていい」と言われ、その言葉に甘えたハインの母親は休むついでにモララーに店長の代理を務めるよう頼んでいたのだ。
そういえばいつもエプロンをしていたのに、通りでしていないと思ったら……。


(;,゚Д゚)「mjsk……」

J( 'ー`)し「そういうわけだから、頑張ってねー」


ハインの母親は手を振りながら店を出て行ってしまった。


( ・∀・)「よし、じゃあハインは俺の手伝いだ」

从 ゚∀从「おkー」

( ・∀・)「ほら、お前は早く買い出しに行け」

(,,゚Д゚)「ちっ……分かりましたよ、店長代理さまさま!」


反抗的な態度を取りながら店を出て行ったギコ。
バイクに乗り、渋々買い物へと出掛けた。

45:名無しさん
07/21(火) 11:42 Q6RjYc5aO



―――ニチャン病院。
ワームに傷を負わされたシャドウ隊員の1人、ドクオはこの病院に入院していた。
ベッドに寝ながらテレビを見ていると、コンコン、と誰かが扉をノックする音が聞こえる。


('A`)「はい?」


ドクオがその音に返事をすると、扉がゆっくり開かれる。
そこには、見舞いの品を手に持つ隊長のクーと、もう1人の女性がいた。


川 ゚ -゚)「やぁ」

从'ー'从「ドッくん、生きてる〜?」

('A`)「クーさん!渡辺さんまで…」


クーと渡辺は病室に入り、手土産をテーブルに置くと椅子に座った。
そして、しばらく談話に戯れる。


('A`)「クーさん、昨日のカブトはどうなりましたか?」

川 ゚ -゚)「ん、……逃がした」


クーは迷いのない表情で堂々と答える。


('A`)「え、何故ですか?」

川 ゚ -゚)「あの時カブトのおかげで助かったのは確かだ。次からは奴の力などいらないが…事実は事実だ」

('A`)「…さすがです、クーさん」

川 ゚ -゚)「なに、誉めることじゃない。それに副隊長の渡辺も今日から復帰だ」

('A`)「本当ですか?」

从'ー'从「うん。またよろしくねぇ、ドッくん」

('A`)「はい、お願いします!」


渡辺と名乗るこの女性は、ZECTのシャドウ部隊に所属し副隊長を務めている。
以前ワームとの戦闘で致命傷を負ったが、無事回復し今日から復帰するという。


从'ー'从「早く退院してね?人数足りなくなっちゃうからさぁ」

('A`)「はい、一日でも早く退院します!」

川 ゚ -゚)「うむ、ではそろそろ帰ろうか。行くぞ、渡辺」

从'ー'从「はいっ!またね〜」


渡辺がドクオに手を振りながらクー達は病室を後にする。
病院から出て車に乗り込もうとしたクーのポケットから、携帯電話が鳴る。
画面には、「フサギコ」と表示されており、クーはその電話に出た。


川 ゚ -゚)「はい」

ミ,,゚Д゚彡『カブトを逃がしたようだな』

川 ゚ -゚)「……はい、負傷した部下を助けるのが先決かと思いまして」

ミ,,゚Д゚彡『私はお前にカブトを抹殺しろと伝えたはずだ』

川 ゚ -゚)「…申し訳ありません、次は仕留めます」

ミ,,゚Д゚彡『まぁ、お前らしいがな。それと、シャドウに出動命令だ』

――――――

――――

――

46:名無しさん
07/21(火) 18:29 Q6RjYc5aO

(,,゚Д゚)「ただいま戻りましたよ……っと!」

从 ゚∀从「おう、おかえりー」


扉を開け、ギコが両手に沢山の品物が入った袋を5つ程下げ重たそうに足元をふらつかせながら厨房と化した場所に荷物をドサッと置く。


( ・∀・)「ご苦労、じゃあ冷蔵庫に全部しまってくれ」

(,,゚Д゚)「はいはい……ってか」

(#,゚Д゚)「何呑気にお茶飲みながらくつろいでんだよ…!」


モララーとハインは客席に座りコーヒーを飲みながら自分の時間を過ごしていた。


( ・∀・)「俺が預かった店だ、どうしようと勝手だろう」

(#,゚Д゚)「なぁんだとこの野郎……!」

从 ゚∀从「………」


一方的に怒りを表すギコと全く相手にしないモララー。端から見ているハインは「こいつらが仲良くすることなんてない」と心の隅で感じていた。
そこに、モララー初の来客がやってきた。ハインは急いでコーヒーを片付ける。


从 ゚∀从「あっ、…いらっしゃい!」

(,,゚Д゚)「あ、いらっしゃいm……!!!」

(*゚ー゚)「へー、此処がギコ君のバイト先ねぇ」


モララーの客第1号は、シャキンの部下でありギコの先輩であるしぃだった。


( ・∀・)「よう」

(*゚ー゚)「…貴方がモララー?」

(;,゚Д゚)「しぃさん、なんで…」

(*゚ー゚)「いや、ちょっと気になって来ちゃった」

( ・∀・)「丁度いい。お前、どうせ来たなら寄ってけ」


(*゚ー゚)「えぇ、そのつもり」


―――――――
――――
――


一方、フサギコから出撃を命じられたクーは渡辺と共にシャドウを率いて現場へと向かっていた。
2人が乗る車の中、クーと渡辺には上下関係のあるはずなのだが――。


从'ー'从「ねぇ、クーちゃん」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

从'ー'从「本当に、カブト倒せるの?」

川 ゚ -゚)「本部の命令は絶対だ、お前だって分かっているだろう」

川 ゚ -゚)「それとも、私の力では勝てないと言いたいのか?」
从'ー'从「そうじゃないけど…人を殺すなんて、クーちゃんには出来ないよ…」


彼女達は、小学校からの幼なじみだった。
いつも仲良しで、休日や学校行事に参加する際は必ず2人の時間が多かった。今は立場は違えどその関係が今でも続いている。
故に渡辺はクーを一番理解している、そのクーが人殺しなど出来るはずがない。
渡辺は不安だった。

47:名無しさん
07/21(火) 19:36 Q6RjYc5aO

川 ゚ -゚)「……渡辺」

从'ー'从「ん?」


クーが口を開く。
しかし、渡辺にはクーの言いたいことが分かっていた。


川 ゚ -゚)「私はもう、甘えは捨てたんだ。シャドウを率いる隊長として、ZECTに仕える者として使命を果たすだけだ」

从'ー'从「……うん」


しばらくして目的地に到着する。そこは結婚式場だった。
クー達は車から降り、場内に入る。
場内は、ワームによってひどく荒らされた跡が残っていた。辺りの物が複雑に散らばっている。
現場の調査を開始するクー達。
すると、クーは過去の事件を思い出す。


川 ゚ -゚)「……渡辺、過去に白い衣装を着た人間がワームに襲われた事件がいくつかあったな?」

从'ー'从「はい。確か、2ヶ月前くらいに――……あ、まさか!」

川 ゚ -゚)「それと同一のワームだろう。白以外の衣装を着た人間は危害を加えられなかったらしい」

川 ゚ -゚)「多分…擬態して隠れているはずだ。おい、この中に白い衣装を着た奴がいないか確認してきてくれ」

「了解!」


近くに居た2人の隊員に指示をするクー。
そこに、シャキン達が現れる。喫茶店にいたギコとしぃも急遽駆け付けたようだ。


(`・ω・´)「ワームは?」

川 ゚ -゚)「いない、既に逃げていた」

(`・ω・´)「そうか…」


そこに、先程探索に向かわせたシャドウ隊員2人が戻ってくる。


「白い衣装を着た人物、いませんでした」

川 ゚ -゚)「そうか、ご苦労だった」

从'ー'从「また、結婚式のときに現れるんじゃないですか?そのワーム」

川 ゚ -゚)「うむ…そうだな。なら次の結婚式に私達が警護に当たろう。シャキン、後は頼む」

(`・ω・´)「あぁ」

(,,゚Д゚)「………」


先程から俯いて一言も喋らないギコ。何か迷っているようだ。
クーがその場を去ろうとすると、ギコが吹っ切れたように動き出しクーの前に立つ。


(,,゚Д゚)「………」

川 ゚ -゚)「…どうした?」


クーの目をじっ、と見つめるギコ。
すると、ギコは突然頭を深々と下げだす。


(,,゚Д゚)「クーさん…俺を、クーさんの部下にしてください!」

从'ー'从「えっ…」

(*゚ー゚)「ちょ、ちょっとギコ君!何言ってるの!?」

(`・ω・´)「………」

48:名無しさん
07/23(木) 19:51 qWwG7YP4O

川 ゚ -゚)「駄目だ、君はシャキンの部下だろう」

(,,゚Д゚)「短期間でいいんです、お願いします!」


それでも諦めず頭を下げ続けるギコ。
頭を下げたまま視線はシャキンを捉えればさっと頭を上げシャキンの下へと向かい、シャキンに対しても頭を下げる。ギコは必死だった。


(,,゚Д゚)「シャキンさん、俺クーさんの下で勉強したいんです。チームっていうのがどういうものなのか、勉強したいんです!お願いします!」

从'ー'从「こっち来たって、いいことないよー?」


何度も何度も頭を下げる。見ている側が可哀相と思ってしまうくらい。
だが、そんな努力も無駄かのようにシャキンはあっさりと答えた。


(`・ω・´)「あぁ、構わん。クー、面倒見てやってくれ」

川 ゚ -゚)「シャキン…?」

(,,゚Д゚)「本当ですか……?ありがとうございます!」

川 ゚ -゚)「おい、いいのか?」

(`・ω・´)「こいつが望んでることだ、止めてやる理由はない」


そう言いながら、シャキンはどこか複雑そうな顔色をしている様に見えたクー。
シャキンは、それ以上口を開くことなくクー達の前から去ってしまった。


(*゚ー゚)「ギコ君……」

(,,゚Д゚)「心配しないで下さい、ちゃんと戻ってきますから」

从'ー'从「本当にいいの?」

(,,゚Д゚)「はい」

川 ゚ -゚)「まぁ、いいだろう」

川 ゚ -゚)「ただし甘くはないぞ、我々はチームで動いてる。それを忘れるな」

(,,゚Д゚)「はい!」


ギコは迷いのない真っ直ぐな姿勢でクーに返事をする。
そして、現場から去るクー達にギコはついて行った。

49:名無しさん
07/23(木) 20:23 qWwG7YP4O

その日の夜。
モララー家ではモララーを含む3人で食卓を囲み、その食卓にはすき焼き鍋が置かれていた。


ξ゚听)ξ「いただきまーす!」

( ^ω^)「いただきますお!」


卵が融かれた受け皿に肉や豆腐、野菜をよそる2人。
それ等を卵に絡め、口の中に頬張っていく。


ξ*゚听)ξ「うん、美味しいよ兄さん」

( ・∀・)「そうか、よかった」

ξ゚听)ξ「ところで兄さん、仕事決まったの?」

( ・∀・)「あぁ、一応決まったことは決まった。喫茶店にな」

ξ゚听)ξ「喫茶店?じゃあ、休日に遊び行こうかしら!」

( ・∀・)「あぁ、いつでも来い」


すると、黙々と箸を動かしていたブーンが手を休め、口に入ったものを飲み込むとモララーに一番気になることを聞き出す。


( ^ω^)「で、基本給はいくらだお?」

( ・∀・)「給料なんかない」

( ^ω^)「は?」

( ・∀・)「俺は手伝ってるだけだ、金ならお前が稼いでくるだろう」

( ^ω^)「………」

(#^ω^)「お前 馬 鹿 か ?」

( ・∀・)「俺は天才だ」

ξ#゚听)ξ「兄さんに向かってなんてこと言うの!?馬鹿はあんたよ!」


怒りに血相変えながら椅子から立ち上がり、沸騰した鍋のタレをお玉で掬い顔面に吹っ掛けるツン。


( ゚ω゚)「あああああああああ!!目が…目があああああ!!!」

ξ゚听)ξ「ふん、口の利き方に気をつけなさい!」


顔面にとてつもなく熱いタレを掛けられ椅子から跳び上がれば床に倒れうずくまるブーン。
その様子を見てスッキリしたツンは鼻で笑うと椅子に座り食事に戻る。


( ・∀・)(まったく、騒がしい奴らだ)


そんな2人を端から見ていたモララーは心の中でそう囁き、自分もすき焼き鍋に手を伸ばした。


――――――
――――

50:名無しさん
07/24(金) 19:33 OkHuvfp2O

翌日――。

昨日とは別の結婚式が予定通り行われていた。
結婚式と言えば、愛し合う男女が共に新たな人生の門出を演出する大切なセレモニーだ。
そんな大切な結婚式が行われている教会を、物騒な集団――シャドウ隊が、ワームを警戒しながら囲んでいた。
そして、教会の入口付近にはクーと渡辺、シャキンの姿があった。
――そこに、教会内を見回りに行っていたギコとしぃが戻ってくる。


(,,゚Д゚)「教会内の白い服装の者全て調べました、ワームの反応はありません」

(*゚ー゚)「こちらも異常ありません」

川 ゚ -゚)「そうか――、この完璧な警備ではワームが侵入できる隙もない」

(,,゚Д゚)「じゃあ、ワームは施設の外に?」

(`・ω・´)「――しぃ、B4エリアを重点的に捜査する」

(*゚ー゚)「はい!」


シャキンは、しぃを引き連れ別のエリアへとワームを探索しに向かった。


从'ー'从「じゃあ、私達も探そっか。行こ、ギコ君」

(,,゚Д゚)「はい!」

川 ゚ -゚)「頼んだぞ」


シャキンに続き、渡辺もギコを引き連れ別のエリアへと向かおうとした――――その時。
教会内から、信じられない人物の声が聞こえてくる。


「神は言いました」

(,,゚Д゚)「……!?」

川 ゚ -゚)「ん?」

从'ー'从「どうしたのー?」


聞き覚えのある声。
まさか――、と思ったギコが早足で入口へと戻り扉越しに耳を傾ける。クーと渡辺も同じように。


「天の青空に光在りて、昼と夜とを分かち」

「また、しるしの為、刻の為、陽の為、星の為になるべし」

川 ゚ -゚)「………!」


驚きが隠せないクー。その人物が誰かをはっきり認識できたクーが、扉を開く。


( ・∀・)「神は言いました」


そこには、神父の姿をしヴァージンロードを歩きながら演説をするモララーの姿があった。


(;,゚Д゚)「モララー……!」

川;゚ -゚)「………」

51:名無しさん
07/27(月) 15:10 uV2EgeiXO

( ・∀・)「神は言いました」

( ・∀・)「汝、天の青空に在りて地を照らす光となるべし」


新郎新婦に顔を向けながら両手を広げゆっくりとクー達に近づくモララー。台詞を言い終えるとクー達に背を向けたまま顔だけ振り返させる。
クー達には、モララーがどうやって教会に入ったのかが分からなかった。


川;゚ -゚)「モララー…お前、どうやって!」

( ・∀・)「どこが完璧な警備だ、招かれざる客が紛れ込んでるぞ」

川 ゚ -゚)「何?」


モララーが聖堂内へと戻る。クー達もつられて中に入ると周りの人の視線が痛い程向けられた。
そして、上の階で美しい歌声を奏でる女性聖歌隊の中の2人へと指を差す。


( ・∀・)「此処の聖歌隊、お前のパーフェクトハーモニーが乱れていないか?」

川 ゚ -゚)「まさか―――」


指を差された2人の女性は悔しそうな表情を浮かべると、柵を飛び越えながらワームへと姿を変え聖堂へと降り立った。
周りの人は恐怖のあまり混乱し、クーとギコが逃げるよう指示をする。


(,,゚Д゚)「早く逃げてください!急いで!」

川 ゚ -゚)「さぁ、早く教会の外へ!」


全ての市民を逃がし終えると、天井を突き破りカブトゼクターとザビーゼクターがモララー達の下へ舞い降りた。
右手でキャッチすると、それぞれゼクターを装着させた。


( ・∀・)「変身!」

川 ゚ -゚)「変身!」


《《HENSHIN》》


すると、モララー達が変身する間に一匹のワームがクロックアップをし逃げてしまった。
モララーは気づいたようだが、クーは気付いていないようだ。

変身した2人は残った1体のワームを畳み掛ける。その様子をカメラで撮影するギコ。
2人相手に苦戦を強いられるワームは、クロックアップをし教会内から脱出をする。
カブトはカブトゼクターの角を反対側へ引き、ザビーはザビーゼクターの羽根を頭部の方向へと引くとザビーゼクターを半回転させ先程と逆さにした状態にし、身に纏う鎧を吹き飛ばしていく。


<=( | )>「キャストオフ」

<=( | )>「キャストオフ!」


《CAST OFF》
《CHANGE BEETLE》

《CAST OFF》
《CHANGE WASP》


(―ЮYO)「クロックアップ」

(_/( \=/)「クロックアップ!」


2人はクロックアップを発動させ、逃げたワームを追った。

52:名無しさん
07/30(木) 16:28 oXRN/DqVO

クロックアップし教会の外へと逃亡したワーム。背後を追ってくる様子もなく、一安心したのかクロックオーバーしその場に立ち尽くすワーム。
しかし、安心したのも束の間、カブトとザビーが一瞬に目前と背後に現れワームを挟む。
目前にいるカブトに襲い掛かり、カブトは冷静にワームの攻撃を防ぎながらワームに強烈なボディブローを叩き込んでいく。
ワームがカブトに気取られている隙に、ザビーはザビーゼクターに手を掛けながら背後から迫っていく。


(_/( \=/)「ライダースティング」

《RIDER STING》

(_/( \=/)「はぁっ!」


そう声を発すると、ワームに向かい全速力で駆け背中にゼクターニードルを深く突き刺す。
途端にワームはカブトへの攻撃を止め体をのけ反らせると痙攣を起こし爆発するように消滅した。
ワームが消滅したことで前方のカブトの姿を捉えると、しばらくカブトを見つめるザビー。その右手は拳を作り、力み過ぎて震えていた。


(_/( \=/)「ライダーは………2人もいらない!」


カブトに向かい声を荒げながら叫ぶザビー。
先程、自らが形成した教会の警備。隙もなく完璧な警備体制を造ったつもりでいたが――モララーが侵入していた時点で隙があったことを思い知らされた。ましてやワームの存在にも気づかず、先日は不本意ながらモララーの手を借りワームを倒した。モララーに先を越されてばかりだったのだ。
その悔しさや屈辱が、クー個人としてのモララーに対する憎しみを生み出していた。


(―ЮYO)「………」

(_/( \=/)「お前を抹殺する…それが私の使命だ」

(―ЮYO)「お前は、その命令に従うだけか?」

(_/( \=/)「黙れ!」


辺りに緊迫した空気が漂う。
カブトは、ザビーに対する僅かな信頼を信じ説得を試みる。が、彼は既に闘う覚悟はできていた。


(―ЮYO)「どうしてもやるというのか?」

(―ЮYO)「……星がどれだけ輝いても、太陽には敵わんぞ」

(_/( \=/)「太陽は―――私だ!」

53:名無しさん
07/30(木) 17:31 oXRN/DqVO

ザビーがカブトに向かい突進し、顔面にストレートを入れようと殴りかかる。カブトはその手を素早く掌で受け止め払い除けると、その手でザビーの顔面目掛け下から振り上げるように裏拳を繰り出す――が、ザビーはすかさず腕で防ぐ。


(_/( \=/)「っく……!」

(―ЮYO)「ふっ!」


攻撃しては防ぎ、かわし、の両者とも譲らぬ攻防を繰り広げる。
そこに、市民を避難させていたギコと渡辺がやってきた。目の前で争う2人を見ては愕然とし、ギコが咄嗟に口を挟んだ。


从;'ー'从「クーちゃん…?」

(,,゚Д゚)「モララー!クーさん!」

(,,゚Д゚)「…なんで…!2人が戦う必要なんかない!」


そんなギコの言葉も届かず、2人は戦い続ける。激しい攻防戦を続けていた。
すると、ザビーのキックを防ぎ切れず体勢を崩したカブト。その好機を逃すまいと力強く脚を振り上げボディに蹴りを入れ、怯んだところを蹴り飛ばし地面に倒す。
そして―――ゼクターニードルのフルスロットルを押した。


(_/( \=/)「ライダースティング……!」

《RIDER STING》

(,,゚Д゚)「モララー!」


ザビーが左腕を掲げ、地面に倒れるモララーにゆっくりと近づく。
いてもたってもいられず、ギコが思わずカブト達に近寄っていく。すると、都合よく幼虫体ワームが1体走りながら現れギコに飛び掛かった。
それを見たカブトはすかさず立ち上がり、ナイフのような形状をした武器をワームに投げつけ頭部に突き刺し、ギコに襲いかかる前に消滅した。
ギコは助かった。ギコ、は――。


(;,,゚Д゚)「はっ………!」

(―ЮYO)「………」


カブトは、ザビーによるライダースティングを受け胴体にはゼクターニードルが突き刺さっていた。
ザビーはゆっくりとゼクターニードルを引き抜くと、カブトの変身が溶けモララーは力無く倒れた。


(,,゚Д゚)「あ……あ………」


言葉が出ない。喉に詰まって声にならない。
ザビーは地に倒れたモララーの服を掴み無理矢理目の前に立たせた。


(_/( \=/)「……ベルトの命ももらおう」


そう言うと、既に意識のないモララーの腹部に装着してあるベルトのバックル部分にパンチを叩き、ベルトを破壊した。
―――これで、仮面ライダーカブトはもう現れない。
ザビーの変身を解き、クーは無情にもモララーを地面に倒させ去っていった。

54:名無しさん
07/30(木) 19:48 oXRN/DqVO



・Episode - 4 End

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