・Episode - 1
2:名無しさん
07/08(水) 22:08 deP4e3YVO
――――10年前。
大都市ニューソクの都心部に、宇宙からひとつの巨大隕石が落下した。
隕石によって都市は瓦礫の山と化し、多くの人間が死にゆき…
宇宙は、人々に"絶望"という名の落とし物をしたの。
その後、国の援助もあって都市は復興して、元の生活に戻ったけど……。
宇宙が落とした物は、それだけじゃなかった………。
3:名無しさん
07/08(水) 22:10 deP4e3YVO
( ・∀・) 天の道を行き総てを司るようです
4:名無しさん
07/08(水) 22:16 deP4e3YVO
天気は快晴。
朝日の光りが辺りに差し込み、心地の良い鳥の囀りが聞こえてくる。
見た目はそれなりに豪壮な一軒家の下、エプロンを着た一人の男が洗濯物の入った籠を抱えながら、家の庭に出て物干し竿に洗濯物を干し始める。
( ・∀・)「今日も良い天気だ……んん……。」
この家政夫のような男はモララー。
モララーは空を見上げれば、まばゆい光を放つ太陽を見ながら両手を前で組みピンと背筋を伸ばす。
( ・∀・)「……よし。」
全ての洗濯物を干し終えたモララーは、籠を持ち家の中へと戻る。
床に籠を置き、洗面台で軽く手を洗うとモララーは二階へ向かった。
そして、一室の扉の前に立ち扉をコンコン、と軽くノックすると、その部屋に居る人物に語りかける。
5:名無しさん
07/08(水) 22:23 deP4e3YVO
( ・∀・)「ツン、朝食の準備できたぞ。起きてこい。」
「はーい、ちょっと待って!」
扉の向こうから、元気の良い返事が返ってくる。
モララーは一階へと戻り台所へ向かうと、茶碗としゃもじを手に取って釜の中に炊き上がった白米をよそり、別の鍋の蓋を開けおたまを手に取れば別の椀に味噌汁を注ぐ。
二つの椀を持ち、既におかずが並べられたテーブルに並べ先程の人物を待つ。
すると、駆け足気味に階段をおりてくる足音が響いてきた。
ξ゚听)ξ「おはよう、兄さん。」
( ・∀・)「あぁ、おはよう。ご飯できてるから食べちゃいなさい。」
ξ゚听)ξ「はーい、よいしょっと……じゃあ、いただきます!」
この少女はモララーの妹。とは言っても義理の妹で、血が繋がってるわけではない。
この家で、彼ら二人は彼らなりに楽しい日々を送っている。
6:名無しさん
07/08(水) 22:26 deP4e3YVO
――彼らには、本当の両親がいない。
10年前、彼らも隕石の被害を受けた。
その隕石で両親を亡くし、あてもなく瓦礫の中を彷徨っていたところ、二人は偶然出会った。
二人はツンの親戚に引き取られ、そこで共に時間を過ごした。
過ごしていくと、モララーは次第にツンを妹的な存在として見はじめ、ツンも同じようにモララーを兄のような存在として見はじめた。
ツンと共に別の場所で暮らすことを決めたモララーは、それから必死に働き、親戚達の援助もあったおかげで今のように安定した生活を送ることができている。
8:名無しさん
07/09(木) 02:13 VwYQ6bESO
ξ゚听)ξ「ごちそうさま!今日も美味しかったよ、兄さん。」
( ・∀・)「そうか、それは何よりだ。」
満面の笑みを浮かべ、ツンはそう言うと食器を重ね台所へと運んでいった。
ξ゚听)ξ「じゃあ、いってきます!」
( ・∀・)「あぁ、気をつけてけよー。」
カバンを持ち家の門から出たツンはモララーのほうへ振り返り手を何度も振る。
モララーはそれに笑顔で返して妹の登校を見送った。
こんな他愛もない生活が、二人にとっては幸せなのだ。
12:名無しさん
07/09(木) 20:02 VwYQ6bESO
だが、毎日が安心して過ごせていたわけではなかった。
巨大隕石と共に地球にやってきたのは、次々と繁殖をし続けている正体不明の宇宙生命体―――、「ワーム」。
ワームは、人間を無差別に殺害し、その殺害した人間に擬態する能力を持つ。故に人間とワームの見分けがつかず、人々は今だ恐怖に怯えていた。
この事態を重く見た人類は、ワームを地球から殲滅するために、秘密組織「ZECT」を結成。
しかし、ワームは超高速移動の「クロックアップ」という特殊な能力持ち、人間の眼では決してとらえることのできない素早い動きに対抗できる術無く敗北を繰り返していた。
――そして、とうとうZECTにワーム殲滅の兆しが見え始めてきた。
「マスクドライダーシステム」
ベルトにゼクターと呼ばれる機体を装着し、武装するシステムである。
このシステムを扱いこなせる資格者さえ現れれば、ZECTはワームと対抗できる。
このシステムに、ZECTは最後の希望を託した。
13:名無しさん
07/09(木) 20:36 VwYQ6bESO
( ・∀・)「……………」
モララーはボックスに収納されている"ある物"を取り出す。
何かを見透かすような目で、それを――ベルトを見つめている。
モララーはZECTに所属しているわけでもなければ、接触もない。秘密組織ZECTの存在すら知らない。
そんな彼が、何故マスクドライダーシステムのベルトを………―――。
〜〜〜〜〜
とある倉庫内に、銃声が絶え間なく鳴り響く。
「撃て! 撃てー!」
黒いマスクを被り、黒い防具服を着た集団が緑色の身体をした宇宙生命体ワームに向かい後退しながら銃を連射し続けている。
この集団はZECTの「ゼクトルーパー」という、ワームに対抗すべく結成された部隊である。
球体のような形をした機体に銃と、接近戦用の刃が仕込まれており、この武器でワームを攻撃している。
そんな危険な状況の中、その様子を撮影している一人の勇敢な青年がいた。
14:名無しさん
07/09(木) 22:03 VwYQ6bESO
(,,゚Д゚)「………」
彼の名はギコ。ZECTに所属したばかりの新人である。
彼は今、ワームとの戦闘を撮影しながら映像を送っている。
送っている場所はワゴン車の中。
ゼクトルーパーの指揮をとれるよう、改装された車内で映像を確認しながら指示を送っている。
(`・ω・´)「よし、そのままワームへの攻撃を続けろ!」
指揮をとるのはシャキン。ギコの上司にあたる人物で、ゼクトルーパーの隊長でもある。
シャキンの指示に従い攻撃を続けるゼクトルーパー達。
すると、一体のワームに変化が表れる。
緑色の肌が剥がれ落ち、その姿はみるみるうちに変わっていく。
(,,;゚Д゚)「脱皮する……!」
「脱皮するぞー!」
ワームにはサナギ体と成虫体がある。
緑色をしたワームはサナギ体の通常種、身体の色や形状が違うものは成虫体。
今まさに、そのワームは脱皮をし成虫体へと進化しようとしていた。
(*゚ー゚)「シャキンさん、ワームが脱皮します!」
シャキンの隣でギコの映像を見ながらそう言うこの女性の名は、しぃ。
ギコの1つ上の先輩であり、シャキンの良きパートナーである。
(`・ω・´)「くっ……各隊、距離を空けながら攻撃せよ!」
ゼクトルーパー達が距離をとりながら進化中のワームに集中攻撃を始める。
……だが、時すでに遅し。
ワームは完全に成虫体への進化を遂げた。
17:名無しさん
07/12(日) 23:26 SW/BBFOoO
成虫体ワームは、ゼクトルーパー達の攻撃を振り切ると足を広げ上半身を屈めて構えをとる。
その瞬間――。
(,,゚Д゚)「…消えた…!」
「………ぐあっ!?」
「うわっ!」
ワームが消えた途端、ゼクトルーパー達が何らかの衝撃により吹き飛ばされていく。
―――クロックアップだ。
クロックアップしたワームにより、一人ずつ倒されていくゼクトルーパー。
クロックアップされては、人間にはその影すら捉えることはできない。
(`・ω・´)「…撤退だ、直ちに撤退しろ!」
やむを得ず撤退命令を下すシャキン。
辛うじて生き残ったゼクトルーパー達が脱出口に向かい走っていく。
「何をしている、撤退だ!」
(,;゚Д゚)「はっ、はい!」
倉庫内から脱出すると、その場に崩れるように座り込むゼクトルーパー。そしてひとまずの安心と疲労に深く溜息をつく。
そこへ、ワゴン車からシャキンとしぃが降りてきた。
一人のゼクトルーパー隊員がシャキンの下へと急ぐ。
「ワームの消息、途絶えました」
(`・ω・´)「………」
「生存者8名、死亡者24名……」
(`・ω・´)「……そうか」
(*゚ー゚)「………」
(,,゚Д゚)「シャキンさん…」
シャキンは多くを語らず、ただ遠くを見つめるばかり。死者を出してしまう苦しみは慣れないようだ。
ZECTに忠誠を誓い、幾度もワームと戦ってきた彼らも限界を感じることはある。
この敗北から、数日が経った。
18:名無しさん
07/14(火) 19:00 qoiteI7fO
- ZECT社内 -
(,,゚Д゚)「ライダーシステムの資格者に……俺が?!」
(`・ω・´)「本部からの指令だ、お前をライダーの資格者に…とな」
今、ギコの手にはベルトが握られている。
予想もしていなかった指令を受けたギコは、事態を飲み込めず目を見開き驚きを隠せないでいた。
(,,゚Д゚)「どうして俺が……ZECTに入ってまだ日が浅いのに」
(`・ω・´)「お前の身体能力を本部も買っている。会議でお前が相応しいとの結論が出た」
(,,゚Д゚)「でも……!」
(`・ω・´)「……引き受けてくれるか?」
本人自身、ライダーになることに多大な責任を感じていた。
様々な不安が脳裏を過ぎる、だが微かに期待もあった。
そして、ギコの選択は――。
(,,゚Д゚)「……わかりました、やってみます」
ギコは"期待"に掛けた。
(`・ω・´)「あぁ、頼んだぞ」
部下の引き受けにシャキンは軽く頷き、その場を去っていった。
そこに、意地悪気な笑みを浮かべながら近寄ってくる女性がやってくる。
(*゚ー゚)「入って早々責任重大ね?新人くん」
(,,゚Д゚)「やめてくださいよ、プレッシャーすごいんだから…」
(*゚ー゚)「ま、頑張って。死んだりしないでね」
(,;゚Д゚)「笑えない冗談言わないでください」
後輩いじりを終えたしぃはギコの肩をぽん、と叩くと颯爽と去っていった。
(,,゚Д゚)「まったく………だが、本当に気引き締めたほうが良さそうだ」
ベルトを見つめながらその場を後にするギコ。
自分のバッグにベルトをしまう。
ワームと戦う、ライダーとして。
引き受けたからにはやろう。
ギコは覚悟を決め社内から出て行った。
19:名無しさん
07/16(木) 11:16 pUsf5U2VO
(,,゚Д゚)「ライダーか……俺のこと、認めてもらえたってことだよな?」
帰り道を、ひとりボソボソと喋りながら歩く。
(,,゚Д゚)「これは…好機だ。俺の実力を見せつける好機だ! よし…やるぞ、俺はやるぞー!」
力強く拳を握りしめ叫びをあげるギコ。
すると、向こうからバッグを背負った一人の男が怪訝な表情をしながらギコをちらちら見つめながら歩いてくる。
( ・∀・)「………」
(,;゚Д゚)「あ………ども」
( ・∀・)「あぁ」
互いに通り過ぎようと歩みを進め、徐々に距離が近付く。
その途端―――。
( ・∀・)「……ん?」
(,,゚Д゚)「な…なんだ?」
二人の持つバッグに電流のような青白い光が走る。
その様子に気づいた二人はバッグの中を覗いてみる。
――ベルトが、何かに反応している。
(,,゚Д゚)「まさか……」
( ・∀・)「なんだ、お前もベルトを持っているのか?」
(,,゚Д゚)「何でお前が…このベルトはまだ1つしか開発されてなかったはず…」
( ・∀・)「さぁ、俺もわからないな」
二人の間に緊迫した空気が流れる。
(,,゚Д゚)「あんた、何者だ?」
( ・∀・)「…俺の名はモララー」
モララーは右手を上に挙げ、人差し指を突き出し天を指す。
( ・∀・)「天の道を行き、総てを司る男だ」
(,,゚Д゚)「…はぁ?」
厨二病全快の台詞に思わず軽蔑の反応を示す。
モララーは右手を下げると、そのまま歩き去ってしまった。
(,,゚Д゚)「なんだあいつ……でも、ただ者じゃなさそうだな」
モララーの背中を不思議そうに見つめる。
しかし、何故ベルトを持っていたのか。それ故にギコの脳にはすっかりモララーのことが焼き付いていた。
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